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【2022年4月】市民公開講座レポート
2022年4月に、「知っておきたい血友病 ~あなたの関節を守るために~」と題してWeb市民公開講座が開催されました。当日は、血友病性関節症の解説や、関節を守る靴選びのポイントなどについて講師の先生方にご講演いただきました。
(司会 長尾先生)本日は、血友病患者さんの関節を守ることをテーマにご講演いただきます。
テーマ1「今、考える血友病性関節症の管理」
大野 久美子 先生(東京大学医科学研究所附属病院 関節外科 助教)
血友病患者さんの関節で出血が起こると、関節の周りにある滑膜が増殖します。すると、滑膜によって軟骨がすり減り、関節が動かしにくくなったり、痛みが出たりする「血友病性関節症」を引き起こします。これを防ぐためには、適切な薬剤投与を行なった上で、エコーやMRI、レントゲン、身体機能評価などで、関節内の出血状況を定期的に確認する必要があります。特に足関節では出血や疼痛が多いようですので1)、よく診てもらいましょう。
適切な治療を受けていても関節内の出血全てを予防することは難しいため、出血時の対処方法を把握しておく必要があります。特に成長期の子どもや、体重が5kg程度変動するような大人の方では、出血時に必要な薬剤投与量について、主治医に日頃から確認するようにしましょう。出血を繰り返すときには、滑膜切除術などを検討してみるのも良いでしょう。
1) 竹谷英之 血友病QOL調査委員会(編著).「血友病患者のQOLに関する研究」令和2年度調査報告書.
テーマ2「関節を守るため 靴選びのポイント」
櫻井 寿美 先生(日本転倒予防学会 転倒予防指導士 フットクリエイト代表)
関節の負担を軽減する靴選びをするためには、「かかとがフィットしている」「つま先に指一本分くらいのゆとりがある」「足の甲まで収まっている」などの条件を満たす靴を選ぶことが重要です。足を守る構造になっていることが重要なため、軽くて柔らかい靴が良いとは限りません。
成長が早い子どもは、2~3カ月ごとに靴のサイズを確認する必要があります。靴が大きいと、靴が脱げないように指を踏ん張ってしまうのでよくありません。大人のビジネスシューズなどは、クッション性の高いものを選ぶと良いでしょう。そして、かかとを踏まないこと、履くたびに靴紐を結ぶことなどを心がけてください。足は、体の健康とも関連しています。ご自身の足をよく観察して、今履いている靴を見直してみましょう。
(司会 長尾先生)大野先生、櫻井先生、ありがとうございました。ご視聴いただいた皆様には、ご講演いただいた内容を、関節を守るためにお役立ていただければと思います。