子どもの靴は、紐やマジックテープで調節ができ、甲の部分がしっかり締まるタイプのものがよいでしょう。
子ども靴は子どもの足の形を正しく整えるための大切な“鋳型”となります。その“鋳型”となる靴の理想形は、①甲の部分が紐やマジックテープで締めることができ、②踵(かかと)部分にはある程度の硬さがあって踵の収まりがよく、③靴底は足指の関節部分で曲がり、④中には衝撃を吸収でき、取り外し可能な中敷きが入っていて、⑤靴底がぐにゃっと曲がらないように“シャンク”と呼ばれる芯(補強材)が入っている、⑥つま先部分には1cm程度の捨て寸があって足指の動きを妨げないものです【図3】。
つまり、子ども靴であっても、本来は甲の部分が紐で結べるものがよいのです。しかし残念なことに、日本ではサイズが16cm未満の紐靴はほとんど市販されていません。また、子ども用のスニーカーの多くは、着脱を容易にするために折り返し部分がない、ペタンと上から留めるだけのマジックテープが主流です。これでは甲をしっかりホールドできません。ただ、紐靴や折り返し部分のあるマジックテープ仕様のものがまったくないわけではないので、なるべくそうしたものを選ぶとよいでしょう。
子ども靴はJIS(日本工業規格)で、サイズ10.5~26cmまで、ワイズ(足囲)※はB、C、D、E、2E、3E、4E、F、Gの9タイプが規定されていますが、実際に市販されている靴の大半が2Eです。さらに、こうしたJIS規格があるにもかかわらず、製靴メーカーごと、あるいはデザインごとにサイズやワイズが異なります。したがって、靴を購入する際は、靴の表記を鵜呑みにすることなく、必ずお子さんには試し履きをさせて足に合っているかを確かめましょう。
英語では、「Ball girth(ボールガース)」と称されるが、日本ではこれを幅(width)と捉えて「ウィズ」、もしくは「ワイズ」と呼ばれることが多いので、ここでもワイズ(足囲)と表記する。
できれば靴の専門家に足のサイズを正しく測ってもらい、
子どもの足にぴったり合った靴を選んでもらうとよいでしょう。
みなさんがメガネを作る時、必ず眼科医を受診してメガネの処方箋をもらい、視力や顔の形に合ったぴったりのものを選んでいるでしょう。「いずれ視力がもっと悪くなるだろうから、きつめの度数にしておこう」などとは思わないはずです。靴もメガネと同様、身につけるもので、子どもの健康や生活にとって欠かせないものです。
家の中でも靴を脱ぐ習慣がない欧米では、眼科における眼科医と同じような役割を担う“足病医”という、足を専門に診る医師がたくさんいます。しかし、近代になってから靴を履くようになった日本ではそうした専門医はほとんどいません。ただ、最近になってようやく靴店に資格を持ったシューフィッターやフットケアトレーナーが在籍するようになりました。
「どのような靴を選べばよいか分からない」「外反母趾の心配がある」といった場合は、こうした靴の専門家に相談するとよいでしょう。靴の専門家が、子どもの足にぴったり合った靴を選ぶ手順をご紹介します【図4】。
【図4】 足にぴったり合った靴を選ぶ手順
1. 情報収集(ヒアリング)
今履いている靴の状態を調べたり、問診をしたりして正しい靴選びのための情報を収集します。
2. 足のサイズ計測
体重がかかっていない(非荷重)時と、体重がかかっている(荷重)時の足の大きさをフットゲージとメジャーを用いて計測します。
3. フットプリント採取
フットプリントを採取して両足の体重のかかり方に差がないか、足裏に問題がないかを確認します。
4. 理想とする靴サイズの見極め
足のサイズ計測での数値から理想とする靴のサイズ・ワイズを予測し、試し履きをします。なお、靴を履く時には、靴ベラを使います。
5. 静止立位姿勢の観察
静止状態での肩や腰の傾きをチェックし、全身のバランスを観察します。