スポーツにはさまざまな種目があります。
からだを守るプロテクターの役割をする筋肉をつけるために
興味があるものや、楽しめそうなスポーツを見つけて始めてみてはいかがでしょうか。
血友病の方には、関節内出血の予防という観点から、1970年頃まではからだを動かしたり、スポーツをしたりすることはあまり推奨されていませんでした。しかし近年、凝固因子製剤の定期補充療法が浸透し、止血管理が良好にできるようになったことで、血友病の方の身体活動は制限せず、むしろ積極的にスポーツに取り組むのがよいという考え方に変わってきています。
血友病の有無にかかわらず、成人の方がスポーツをすることには、多くのメリットがあります【表1】。からだを動かしたり、スポーツをしたりすることで身についた筋肉は私たちのからだを守る“プロテクター”のような役割をするからです。特に血友病の方はこの筋肉のプロテクターがあると、関節への負担が減少して関節内出血の抑制につながるほか、日頃からスポーツをしておくとたとえ転びそうになったとしても俊敏に動け、また踏ん張る力もあるので転倒の危険性を回避することができます。
- 【表1】 スポーツのメリット
-
からだを守るプロテクターとなる筋肉の発達促進
運動能力強化によるバランス感覚向上・転倒予防
ストレス発散
適正体重の維持
生活習慣病の予防
骨密度の維持・減少抑制
QOLの向上
自信や達成感の獲得
竹谷英之先生ご提供
『からだの調子もいいし、何か新しいことを始めてみようかな』と思い立ったら、一度、スポーツにトライしてみませんか。まずは一回やってみるという、「一歩踏み出す勇気」が大切です。スポーツを長く続けられるようにするために、自分のからだと相談しながら少しずつ始め、途中で何か不具合が起これば、やり方や強度・種目を変えるという、“トライ&エラー(試行錯誤)”の方式でやってみるのがよいと思います。
ひとくちに“スポーツ”と言ってもさまざまなものがあります。「スポーツ」と聞いてすぐに思い浮かぶような、野球やサッカーなどの球技、あるいは陸上のトラック競技のようなフィジカル(肉体的)な種目はもちろんのこと、欧米ではチェスやビリヤードなどはインテリジェント(知的)スポーツとして位置づけられています。さらに最近話題となっている、対戦型のコンピューターゲームを用いてバーチャル競技として行うeスポーツ*も、広義ではスポーツの範疇に含められるでしょう。
『血友病があって、出血の危険があるから怖くてスポーツはできない』と決めつけるのではなく、あまたあるスポーツの中から興味があるものや、楽しめそうなものを見つけて気軽に始めてみてはいかがでしょうか。
*eスポーツ(esports):
エレクトロニック・スポーツの略で、広義には電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉であり、コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称
[一般社団法人日本eスポーツ連合 Japan esports Union(JeSU)ホームページより(https://jesu.or.jp/(外部サイトに移動します))]
2024年2月14日現在の情報です