後天性血友病の治療

2022.06.20

監修

新潟大学地域医療教育センター魚沼基幹病院 血液内科 教授 関 義信 先生

治療について

インヒビター(抗体)を消失させるための治療(免疫抑制療法)と、出血症状を改善させるための治療(止血治療)があります。
後天性血友病では、インヒビターがなくならない限り、重篤な出血を引き起こしてしまう可能性があります。そのため、診断を受けたら、できるだけ早く免疫抑制療法を始めます。その上で、治療が必要な出血症状がある場合は、止血治療も行います。

免疫抑制療法

副腎皮質ステロイド薬などを用いて、免疫の働きを弱め、自己抗体をつくらせないようにする治療法です。

後天性血友病では、主に内服薬の治療が行われます。治療には、副腎皮質ステロイド薬だけを服用する方法と、その他の免疫抑制剤を併用する方法などがあります。インヒビターが少なくなったり消失した場合に、薬を減量したり中止したりします

※主治医の指示に従い、自己判断で減量や中止をしないでください。

イメージ図
図:免疫抑制療法

免疫抑制剤を用いてインヒビターができないようにします

止血治療

後天性血友病では、血液凝固因子の働きは正常であるのに、インヒビターがその働きを阻害してしまうため、止血の仕組みがうまく働かなくなります。

そこで、後天性血友病Aで働きが阻害されている第VIII因子に頼らない異なる経路(迂回:バイパス)を利用する薬(バイパス止血製剤)や、第VIII因子の代わりとなって働く薬を注射して、出血を抑制します。

イメージ図
図:止血治療

第VIII因子を迂回する経路を利用する薬や、第VIII因子に代わって働く薬で出血を抑制します

後天性血友病A 診療ガイドライン作成委員会:
後天性血友病A 診療ガイドライン2017 年改訂版, 血栓止血誌2017; 28(6): 715-747.
難病情報センター:自己免疫性後天性凝固因子欠乏症
https://www.nanbyou.or.jp/entry/4648(外部サイトに移動します)

2022年5月10日現在の情報です

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