治療について
インヒビター(抗体)を消失させるための治療(免疫抑制療法)と、出血症状を改善させるための治療(止血治療)があります。
後天性血友病では、インヒビターがなくならない限り、重篤な出血を引き起こしてしまう可能性があります。そのため、診断を受けたら、できるだけ早く免疫抑制療法を始めます。その上で、治療が必要な出血症状がある場合は、止血治療も行います。
免疫抑制療法
副腎皮質ステロイド薬などを用いて、免疫の働きを弱め、自己抗体をつくらせないようにする治療法です。
後天性血友病では、主に内服薬の治療が行われます。治療には、副腎皮質ステロイド薬だけを服用する方法と、その他の免疫抑制剤を併用する方法などがあります。インヒビターが少なくなったり消失した場合に、薬を減量したり中止したりします※。
※主治医の指示に従い、自己判断で減量や中止をしないでください。
止血治療
後天性血友病では、血液凝固因子の働きは正常であるのに、インヒビターがその働きを阻害してしまうため、止血の仕組みがうまく働かなくなります。
そこで、後天性血友病Aで働きが阻害されている第VIII因子に頼らない異なる経路(迂回:バイパス)を利用する薬(バイパス止血製剤)や、第VIII因子の代わりとなって働く薬を注射して、出血を抑制します。
後天性血友病A 診療ガイドライン2017 年改訂版, 血栓止血誌2017; 28(6): 715-747.