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血友病とは⾎友病の治療・出⾎への対応

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⾎友病の治療・出⾎への対応

2019.11.25

監修:荻窪病院 血液凝固科 部長 鈴木 隆史 先生

長尾 梓 先生

治療について

⾎友病は多くの場合幼少期に診断され、治療は⽣涯続きます。⾎友病の治療の基本は、不⾜している⾎液凝固因⼦を注射で補う「補充療法」です。
補充療法の⽅法は、出⾎が起こった時に注射をする「出⾎時補充療法」、出⾎の可能性が⾼い⾏動(運動会や遠⾜など)の前に予防的に注射をする「予備的補充療法」、出⾎の有無にかかわらず定期的に注射をする「定期補充療法」に分けられます。定期補充療法は⾎友病性関節症の予防にも効果的であることがわかっています。⇒⾎友病性関節症とは
また⾎友病では家族の⽅や本⼈が⾃分たちで製剤を注射する⾏為(在宅⾃⼰注射)が認められており、⼩学校⾼学年になると練習を経て⾃分で注射ができるようになる⼦どもも沢⼭います。自己注射手技を取得することで行動範囲も広がっていきます。

定期補充療法

数週間に1回または週に1回〜数回など、製剤によって頻度は変わりますが、定期的に⾎液凝固因⼦を注射する⽅法です。
いずれの製剤も出⾎を予防するために、投与間隔や投与量を調節して⾎液凝固因⼦活性レベルを⼀定以上に保つようにします。
定期補充療法は、関節内の出⾎回数を減らし、⾎友病性関節症の予防にも効果があることがわかっています。これにより、より活動的な学校⽣活や社会⽣活が送ることができるようになってきています。
不足している血液凝固因子を補充する治療のほかに、最近では体内で血液凝固因子と同様の働きをする抗体を使用した治療もあります。

出⾎時補充療法

出⾎が起こった際に⾎液凝固因⼦を補充する⽅法です。同時に、関節内や筋⾁内の出⾎では、補充療法だけでなく"RICE(ライス)”と言われる、局所の安静(Rest)、冷却(Icing)、圧迫(包帯やサポーターによる:Compression)、挙上(Elevation)もあわせて行います。
出⾎時の補助的ケア:RICE
なお、⽌⾎に必要な⾎液凝固因⼦製剤の投与量は、個々の体重、出⾎した部位や出⾎の量、⾎液凝固因⼦活性レベルにより決められます。

在宅⾃⼰注射(家庭療法)

1983年に健康保険で在宅⾃⼰注射療法が認められ、⼀定の教育を受けた⾎友病の⽅は、医師や看護師ではなく⾎友病の⽅やそのご家族によって⾃宅や旅⾏先など、医療施設外での注射が可能です。
在宅⾃⼰注射を行う際は、メリットや注意点を正しく理解し、医師や看護師、薬剤師の指導を受け、正しく安全に行うことが⼤切です。
在宅自己注射を開始してからは、それがうまくできているか、出血はしていないかなど、きちんと記録して定期的に評価してもらうことが必要です。

在宅⾃⼰注射のメリット
  • 出⾎した際、早く治療ができる
  • 出⾎による後遺症や慢性障害を予防・軽減する
  • 通院にかかる⾝体的・時間的・経済的負担を軽減する
  • 出⾎による学校⽣活・社会⽣活の質の低下を軽減する
  • 活動内容や⾏動範囲が広がることで、精神的・⾝体的⾃⽴が促される
在宅⾃⼰注射を行う上での注意点
  • 最低3ヵ⽉ごと、定期的に病院を受診する
  • 家庭療法に関して、主治医の先⽣から評価と指導を受ける
  • 治療の経過や製剤の在庫状況を記録し、定期的に病院に提出する
  • 製剤は規定の⽅法で管理し、指⽰された注射量・⽅法を守る
  • 本⼈以外に薬を流⽤しない(兄弟でも不可)
  • 注射針や注射器などは、指導された⽅法で処理する
  • 出⾎がひどい時や判断に迷う時は、主治医や医療スタッフに連絡する

インヒビター保有の⽅の治療

⾎液凝固因⼦製剤による治療を行っているうちに、投与された⾎液凝固因⼦を体が異物とみなし、体から排除しようとする抗体「インヒビター」ができてしまうことがあります。⼀度インヒビターができると、⾎液凝固因⼦製剤の効き⽬が弱くなる、または全く効かなくなってしまうため、治療法の変更が必要になります。
インヒビター保有の⽅の治療法は、出⾎時の⽌⾎を⽬的とする「インヒビター中和療法」「バイパス⽌⾎療法」とインヒビターをなくすことを⽬的とした「免疫寛容導⼊療法」があります。

インヒビター中和療法
不⾜している⾎液凝固第VIII(8)またはIX(9)因⼦を⼤量に投与することでインヒビターを中和し、残りの⾎液凝固因⼦で⽌⾎する治療
バイパス⽌⾎療法
⼤量に⾎液凝固因⼦を使⽤してインヒビターができてしまった際の、⾎液凝固第VIII(8)またはⅨ(9)因⼦に頼らない異なる経路(迂回:バイパス)にて⽌⾎する治療
免疫寛容導⼊療法
⾎液凝固第VIII(8)またはIX(9)因⼦を⻑い間繰り返して使⽤することで体を慣らし、インヒビターを作らなくさせる治療

近年では、これらの治療のほかに、インヒビターの有無に関わらず出血抑制効果が期待できる製剤も使⽤されています。

出⾎時の補助的ケア:RICE

RICE(ライス)とは、出⾎した部位のRest:安静、Ice:冷却、Compression:圧迫、Elevation:挙上のことで、これを⾏うことにより症状を軽くし、再び出⾎するのを防ぐことができます。

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