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~美防災~④

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-第4回-パントリーでの“ローリングストック”について

2018.11.01

災害時に備え、食料品や日用品は
パントリー(食品貯蔵庫)で、“ローリングストック”として備蓄しておきましょう。

監修:株式会社 町田ひろ子アカデミー一級建築士・インテリアコーディネーター
町田瑞穂ドロテア 先生

備蓄品は、災害発生時に避難生活を支える重要な役割を果たします。過去の大地震発生時を教訓に、行政や企業では避難場所に防災備蓄倉庫の設置などを進めています。しかし、災害発生直後はライフラインが止まり、交通網も寸断されるため、支援物資が十分に行き渡らないこともあります。このため、当座をしのぐための食料品や日用品は、それぞれの家庭内で備蓄しておくことが必須となります。

これまで、備蓄品は3日分あれば十分と言われていました。しかし今では広域に甚大な被害を及ぼす大規模地震が発生した場合に備えて、1週間分以上の備蓄が望ましいと言われています。ただ、いつ起こるか分からない災害のために家族全員の、それも1週間分もの食料品や日用品を備蓄しておくことは、費用や保管場所などの点からハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。

また、たとえ長期保存が可能な“特別な非常食”を大量に購入できたとしても、納戸などにしまい込んでいて「気が付いたら消費期限が過ぎていて廃棄せざるを得なかった」、あるいは「消費期限が迫っていたので食べようとしたけれど、乾パンなどの長期保存食は食べ慣れていないせいか、すべてを食べ切ることができなかった」という声もよく聞かれます。

こうした問題点を解消するために、今、“ローリングストック”という新しい備蓄の方法が注目されています。これは災害時用に特別な非常食を用意し、ただストックしておくのではなく、普段から食べている食料品や、使い慣れている日用品を少し多めに購入しておき、使った分だけ買い足すことで常に一定量を家庭に備蓄しておくという方法です。

このローリングストックならば、①使った分だけ補充するので、消費期限切れが少なくなる、②食べ慣れたもの、使い慣れたものばかりなので、いざという時にも平時に近い生活を送ることができ、災害時のストレス軽減にも役立つ、③普段使うものを少し買い足すだけなので、防災や備蓄そのものに対する心理的・経済的なハードルが低くなる、といったメリットがあります。

このローリングストックは、生活動線と避難動線を考慮して、キッチンに隣接したパントリー(食品貯蔵庫)の中で管理するとよいでしょう【図】。

【図 パントリー(食品貯蔵庫)でのローリングストックの一例】

  • 停電時に活躍する蓄電池と、長期保存が可能な保存水も備蓄
  • 発熱材と水を入れるだけでレトルト食品を温めることができる加熱キットなど、役立つ防災アイテム

  • 災害などから財産を守る金庫をはじめ、非常食も保管

  • 避難時には備蓄品がバックに入る大きめの避難セット

  • 応急処置にも対応できる救急セット

  • 避難時にも持ち運びが容易な、折りたためるヘルメットやランタン

  • 狭いシェルター内でも安眠できる本格的なマットレスを保管
  • 万一の時に備えた防災用品が無駄なく収納できるビルトイン家具

参考までにローリングストックとして備蓄しておきたい食料品や【表1】、防災に必要なマテリアル【表2】をまとめてみました。これ以外にも家族構成(乳児・高齢者の有無)やペットの有無を考慮して、各家庭で必要なものをストックしておいていただければと思います。

なお、このパントリー内には、ローリングストックだけでなく、非常時にすぐに持ち出したい常備薬や保険証・お薬手帳なども、リュックサックと共に一緒に保管しておきましょう。また、「避難する時には、誰が何を持ち出すか」「どのような経路で、どこに避難するか」という役割分担や行動計画をあらかじめ決めておくと、いざという時にも落ち着いて行動できるでしょう。

【表1 ローリングストックとして備蓄しておきたい食料品の一例】

  • 必須
    主食 精米または無洗米
    レトルトご飯、アルファ米
    パン(食パン)
    もち
    乾麺(うどん、そば、パスタ)
    即席麺、カップ麺
    乾パン、パンの缶詰
    シリアル類 など
    主菜 肉・魚・豆などの缶詰
    レトルト食品
    豆腐(充填)
    乾物
    ロングライフ牛乳 など
  • 副菜
    野菜
    など
    日持ちする野菜類(たまねぎ、ジャガイモ、乾燥野菜、漬物 など)
    缶詰(トマト水煮 など)
    野菜ジュース
    のり、乾燥わかめ、乾燥ひじき
    梅干し
    汁物 インスタントみそ汁、即席スープ など
    果物 日持ちする果物(バナナ、りんご、みかん など)
    缶詰(桃、みかん、パイナップル など)
    果汁ジュース
    その他 調味料(塩、みそ、しょうゆ、酢、砂糖、食用油、ケチャップ、マヨネーズ、バター など)
    嗜好品(緑茶、紅茶、コーヒー、ココア など)
    菓子類(チョコレート、飴、ビスケット、せんべい など)
    日常使用している食品(食物アレルギー対応食品、香辛料 など)
    その他(ふりかけ、ジャム、はちみつ、スキムミルク など)

農林水産省 「緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド」 一部改変
[http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/anpo/gaido-kinkyu.html]
(2018年8月24日閲覧)

外部サイトに移動します。

リンク先のウェブサイトは中外製薬株式会社が運営するものではないことをご了承ください。

【表2 防災に必要なマテリアルの一例】

停電・断水時に活躍するもの
スーパーLEDランタン スマートフォン対応の充電ラジオライト 5年保存水
キャスター付給水タンク クーラーバッグ(保冷剤付) 電池
ローソク・マッチ・ライター 固形燃料  
調理器具など飲食に必要なもの
調理器具 カセットコンロ、カセットボンベ ハイパワー加熱キット
紙皿、紙コップ 箸、フォーク、スプーン、ストロー 食品用ラップフィルム
身を守ったり清潔にしたりするのに必要なもの
救急セット 手指消毒剤、抗菌消毒剤 からだ拭きタオル
ドライシャンプー 止血パッド・ケアバンテージ たためるヘルメット
靴、踏み抜き防止インソール 雨具、防水シート 簡易トイレ
カイロ マスク 衣類
あると便利なもの
新聞紙 粘着テープ/粘着ローラー ちり取り付ほうき
避難セット 防災マニュアル  

アウトドアグッズも災害時に活用できます。
災害発生時の、非日常的な生活を疑似体験するために、子ども達とのキャンプもお勧めです。

最近では、さまざまな防災用品が市販されています。しかし、そうした専用の物をわざわざ購入しなくても、家にアウトドアグッズがあればそれを活用するのも手です。

ただ、「テントはあるけれど、頻繁にキャンプをするわけではないので、いざ使おうとしたら手順を忘れていて組み立てるのに時間がかかった」「寝袋を使ってみたけれど、布団やベッドの上とは感覚が違って寝付けなかった」という経験のある方も多いでしょう。

そこで、訓練のためにレジャーではなく災害時を想定したキャンプを実施し、大人も子どもも避難生活を疑似体験しておくとよいでしょう。一度、こうした経験をしておくだけでも、それぞれの家庭で避難時に何が必要かも見えてくると思います。

災害時には“自助”のみならず、地域住民の方との“共助”も必要です。
普段から地域の方々とコミュニケーションを図っておきましょう。

防災や災害対策の世界では、自分自身や家族を守るための備えや努力を“自助”、隣人など地域住民同士の助け合いを“共助”、国や地方自治体のサポートを“公助”と呼んでいます。

災害発生時に、災害から自分や家族の命を守るためには、一人ひとりが自ら取り組む“自助”が重要です。これまで述べてきたローリングストックでの備蓄や、キャンプでの避難生活の疑似体験は “自助”にあたります。ただ、大規模災害が発生した場合、“自助”でできることは限られています。やはり地域住民との“共助”が欠かせません。

いざという時に地域住民が助け合えるためには、普段から地域住民の方とコミュニケーションを図っておくことが必要です。そこで、たとえば地域住民の方と、“ローリングストックの材料で作る災害時の食事の試食会”などを開催してみるのはいかがでしょう。顔が見える交流ができますし、災害発生時の炊き出しの予行演習にもなります。そして何より、地域住民の防災意識が高まるのではないでしょうか。

災害対策の第一歩は、一人ひとりが防災意識を高め、自助力を高めることです。それをさらに地域で連携する共助力にまで高めることができれば、地域全体の防災強化につながると思います。日ごろから地域住民の方とのコミュニケーションを図っておくことも防災活動の一環なのです。

監修医のコメント
血友病の方は、お薬手帳以外にも患者カード(病名、使用薬剤が書かれたカード)のコピーなどを入れておくといいでしょう。
凝固因子製剤など冷蔵が必要な医薬品の取り扱いは、かかりつけ医に確認してください。
医療法人財団荻窪病院 血液凝固科 
長尾 梓 先生

Profile

  • 株式会社 町田ひろ子アカデミー 一級建築士・インテリアコーディネーター
    町田瑞穂ドロテア 先生 プロフィール

    スイス生まれ。東京都市大学(旧:武蔵工業大学)工学部建築学科卒業。日本の住宅メーカーをはじめ米国の設計事務所RTKL International ltd.に勤務。2000年の帰国後より「町田ひろ子アカデミー」にて教育・商品企画・インテリアデザインなどに関わる。校長の町田ひろ子は、40年前に「インテリアコーディネーター」を初めて提唱した。以来、「はじめに暮らしありき」の思想のもと、豊かな暮らしの実現のために、国内外からの情報を収集、一級建築士事務所と人材育成の両輪で日本の多様化するライフスタイルに対応した「暮らし」の提案に努めている。東日本大震災以降、災害に負けない豊かな住まいとインテリアとして、賢く「美防災」を推進。

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