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幅広い活動で患者さんと関係者を支える「社会福祉法人はばたき福祉事業団」
血友病患者さんをはじめ、様々な病気や障害を持つ人たちとその家族、医療に携わる人たちを対象に、情報発信と支援、研究活動を行い、誰もが良質な医療・福祉のもと、のびのびと生活できる環境をつくることを目指している皆さんの思いを伺いました。
(2022年10月25日に社会福祉法人はばたき福祉事業団本部にてインタビュー実施)
血友病患者さんと関わるすべての方の相談に経験豊富な相談員が対応
- どのような活動をされているか教えてください。
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武田さん:主な活動として、はばたき福祉事業団では電話、メール、面談などでの相談窓口を開設しています。
これまで数多くの患者さん、ご家族の悩みと直面してきた相談員がその経験を活かして、相談者の不安に寄り添うことはもちろん、実践的なアドバイス、支援を行っています。治療に当たる医療者からも、患者さんへの声がけや説明のしかた、配慮点などについて知りたいという相談が寄せられています。血友病患者さんと関わるすべての方、たとえば学校の先生、同僚、上司、友人、恋人などからの相談も受け付けています。血友病に関することだけでなく、血友病家系女性・保因者についての相談、HIVに関する相談などどんなことでもご相談いただけます。 - 皆さん、実際に相談員としてお話を聞かれているのですか?
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武田さん:はい。私は、血友病患者であり、薬害被害の当事者でもあります。16歳のときその事実を知って、どうせ長く生きられない、と投げやりになっていた時期もありました。その後、はばたき福祉事業団や前理事長の大平さん(故大平勝美前理事長)に出会い励まされました。
血友病治療の進歩によって若い患者さんたちの出血リスクは低くなり、スポーツに打ち込むこともできるようになりました。しかし、進学や就職、結婚など人生の転機で不安や悩みを抱えるのは、今も昔も変わりません。患者さん同士の交流機会が減っている今、身近に相談する相手がいないことも少なくないと思います。
落ち込んだ時、困った時、ここで話を聞いてくれた人達がいたから私は今こうやって生きています。ですから私自身も、どうしたらいいか分からないといった時にそこに一緒に話ができる存在でありたいと思っています。後藤さん:私も血友病患者であり、薬害被害者として訴訟にも参加しました。血友病治療も、後に肝移植を受けた際も、はばたき福祉事業団の支援があったから乗り越えることができました。病気で健康を害したり生活ができなくなったりする方が1人でも少なくなり、多くの方が良い生活を送れる社会を目指して活動しています。自分が治療面でも精神面でもサポートしてもらったので、それをお返ししたい気持ちでいます。
柿沼さん:私は血友病患者家族でも医療者でもありません。事務員として参加したのがきっかけで、自分にできる事があったらやりたいと思って活動に参加するようになりました。
初めは、自分に患者さんや周りの方の悩みに寄り添うことができるのかと不安でしたが、第三者だからこそ、患者さんとしてではなくひとりの人として相談にのったり、誰もがより良い医療を受けるために社会への働きかけができるのではないかと思い、活動しています。武田さん:当事者ではない人の視点というのも大事なんです。当事者からすると、生まれつき血友病なので体調が悪いのに慣れてしまっていて、これぐらいは普通の事だろうと思ってしまいがちな事も、第三者から「もっとこうすれば良くなるんじゃないか」と言ってもらえたというのは自分にとっては大きい発見でした。「あーそうか、体調が悪いのは普通じゃないんだ」、「良くすることができるんだ」と。
当事者だけでなく、第三者の視点も取り入れて活動しているのは、はばたき福祉事業団のひとつの特徴かもしれません。
情報格差をなくすことで誰もがより良い未来を目指せる
- 相談事業以外にも、血友病患者さんや関わるすべての方に役立つ情報発信を積極的に行っておられますよね?
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柿沼さん:はい。血友病やHIVに関する基本情報から治療に関する最新情報まで幅広くご提供するとともに、血友病家族の女性・保因者のための情報、患者参加型で行っている調査研究事業の成果などの発信にも取り組んでいます。
シンポジウムやワークショップの開催も手がけています。コロナ禍の下、オンラインでの開催が増えていますが、今まで東京まで来られなかった方も参加できるようになりました。はばたき福祉事業団インフォメーションスクエア:【動画】はばたきオンラインセミナー
https://www.habatakifukushi.jp/news/olseminarlist/ (外部サイトに移動します)武田さん:やはり自分自身の病気、薬のことや使い方、自分が生きやすくなるための情報を知ることは大切です。どこに住んでいても最新の情報が得られるように、様々な方法で多岐に渡る情報を発信しています。
「患者が変われば医療が変わる」を理念に
- 最後に、患者さんやそのご家族へのメッセージをお願いします。
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武田さん:はばたき福祉事業団の設立には、薬害事件をきっかけに、恒久的な被害救済に取り組むために、被害者自らが被害者の医療や福祉、社会生活の向上を目指して立ち上がったという背景があります。現在の血友病患者さんが受けられる医療や支援の制度のなかには、患者会が長年の努力の末に勝ち取ったものも少なくありません。血友病という希少疾患の医療体制を充実させるためには、患者さんたちの力の結集が必要でした。
今後も、希少疾患の患者さんが力を結集し、国や医療機関に対し声をあげて、働きかけなければならない場面があるかもしれません。
「患者が変われば医療が変わる」という当法人の理念は、実際に患者さんたちの働きかけによって医療を変えてきた経験に基づいています。病気を持っていても安心して暮らせる未来のために、これからも活動を続けていきたいと思います。
お話をうかがった方
理事長 武田飛呂城さん
血友病患者であり、薬害被害の当事者。思春期に感染の事実を聞き、当事者意識もなく投げやりな気持ちで過ごす中、本団体や故大平勝美前理事長に出会い、励まされたことから活動に参加。2020年に理事長を拝命。前理事長の思いを継承し、血友病患者支援、さらに誰もが安心して暮らせる社会づくりに取り組む。
事務局長 柿沼章子さん
はばたき福祉事業団が、自己注射や治療の公費負担など大きな課題に果敢に取り組み、実現していったプロセスから多くのことを学び、患者家族でも医療者でもない、第三者として数多くの患者さん、ご家族、医療関係者と接しながら誰もが生きやすい環境づくりに力を尽くす。
相談員 後藤智己さん
血友病患者、薬害被害の当事者。血友病治療や、後に肝移植を受けた際、はばたき福祉事業団による治療面でも精神面でもサポートしてもらった経験から、患者さんが生きやすい環境づくりの重要性を実感し、現在は常勤職員として、相談事業をはじめ様々な活動に取り組む。
社会福祉法人はばたき福祉事業団
https://www.habatakifukushi.jp/ (外部サイトに移動します)
- 【創立】
- 1997年4月(法人設立 2006年8月)
- 【理事長】
- 武田 飛呂城
- 【事務局】
- 東京本部および北海道、東北、中部、九州の4支部
- 【本部所在地】
- 東京都新宿区新小川町9-20新小川町ビル5F
- 【連絡先】
- 電話:03-5228-1200 FAX:03-5227-7126
Mail:info@habataki.gr.jp - 【活動内容】
1997年、薬害エイズの被害者救済事業に被害者みずからが取り組むために生まれた組織です。2006年に法人化し、血友病患者さん、HIV感染患者さん、そのほか様々な病気や障害を持つ人たちとその家族、医療に携わる人たちを対象に、情報発信と支援、研究活動を行うことで、誰もが良質な医療・福祉のもと、のびのびと生活できる環境をつくることを目指しています。
会員制ではなく、どなたでもWEBサイトの情報を活用したり、イベントに参加したり、電話やメールなどで相談することができます。事業所にははばたき専門家相談員やカウンセラーを常時配置し、下記の内容で相談を行っています。ー電話相談
受付時間:月~金曜日、午前10時から午後4時まで 相談電話番号:03-5228-1239ー手紙・メール相談
受付時間:月~金曜日 午前9時30分から午後5時までー面接相談(予約制)
受付時間:月~金曜日 午前10時30分から午後4時まで