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楽しく、開かれた交流の場をめざす「福岡県ヘモフィリア友の会(福友会)」
サマーキャンプを中心に、医療者とともに子どもも大人も安心して学び遊べる場を守り、サポートしている皆さんにお話をうかがいました。
(2024年9月29日、博多バスターミナル9階貸ホールにてインタビュー実施)
九州の地で脈々と続く取り組み
- 福友会について教えてください。
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Y.Nさん:福友会は、血友病患者を取り巻く問題が少しでも解消されればとの思いから、1972年に産業医科大学病院の血友病センターを窓口として結成されました。病気の診断や治療が受けられる医療施設が限られ、医療費の自己負担があった時代のことです。
以来、事務局をおく産業医科大学病院のサポートを受けながら、年に1回の総会とサマーキャンプ、勉強会などの活動に取り組んでいます。なかでも最大のレクリエーションであるサマーキャンプは、県外からの参加者も多く、会員でない方にも参加いただいています。コロナ禍で中断していましたが、2023年から日帰りで再開したところです。 - 他県とのつながりはどのように築かれたのでしょうか。
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Y.Nさん:九州には以前、各地の患者会を束ねる形で「九州血友病友の会連絡協議会(九友協)」という組織がありました。年1回のサマーキャンプも福友会と九友協が交互に主催し、九友協のときは、各県が持ち回りで企画運営をしていました。しかし、時代とともに、他県の患者会活動が活発でなくなり、現在、九友協は活動を休止しています。
このような経緯から、福友会は昔から他県とのつながりがあります。今も九州沖縄各県の病院の先生方にはイベントの案内をしていて、そのつながりで参加される患者さんもおられます。
「楽しい」から関わり続ける
- 福友会に入ったきっかけは何でしょうか。
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Y.Nさん:私は血友病Aの重症患者で、40代です。兄も血友病なので先に親が入会し、私は、生まれてすぐ血友病と診断されたのをきっかけに入会しました。それ以来、ずっと関わり続けて、今、会長をしています。
N.Oさん:私は30代で、血友病Aの重症患者です。生後4ヵ月で血友病と診断され、母親が途方に暮れていたときに、当時の会長さんに紹介されて、入会したと聞いています。以降、継続して参加し、副会長もしています。
C.Yさん:私は2000年代生まれの息子が血友病Aの重症患者と診断され、主治医の紹介で2006年度に入会しました。2012年からは役員の一人として、自分自身が楽しく担えることを続けています。
- 成長するにつれて患者会から足が遠のく方も多いと聞きますが、福友会ではどうでしょうか?
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C.Yさん:やはり中学以降、部活などが忙しくなり、足が遠のく方は多いです。私の息子は大学1年の時は参加しませんでしたが、今年は、サマーキャンプ行ってみる?と誘ってみたところ、久しぶりにみんなに会いたいからと参加しました。「楽しかった」という記憶が残っていたみたいです。
N.Oさん:私の場合は本当に福友会が楽しく、居心地が良いので、昔も今も行くのを止めようと思ったことがありません。私たち以外にも、昔から継続して参加している人は何人かいますよ。
子どもも大人も安心し、自由に学び遊んだ場
- 患者会で「楽しかった」ことを教えてください。
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Y.Nさん:とくにサマーキャンプに楽しい思い出があります。私が小学生のころは2泊3日でやっていて、そのあいだに運動会もありました。玉転がしに仮装大会と本当に楽しかったです。医師や看護師の方も一緒に参加されていて安心できましたし、普段の学校生活とは全然違って「自由に動いていいんだ」という感じでした。多いときは150名くらいが参加されていたと思います。
C.Yさん:私の息子のときは、運動会はしていませんでしたが、血友病の子ができる運動を学生ボランティアの方のサポートでおこなっていました。人気者のお兄さんに、子どもたちがたくさん集まっていたことを憶えています。
今もキャンプでは、ふだんお世話になっている大学病院の先生が、白衣ではなく普段着に麦わら帽子、そして虫取り網を片手に参加してくださいます。また、熊本、大分、佐賀、沖縄などから医師や看護師、製薬会社の方も参加してくださり、夜はジュースやアルコールを飲みながら、座談会で交流を深めるなど、子どもも大人も楽しめるイベントが続いています。
N.Oさん:私が参加するようになったころは、運動会はありませんでしたが、今のように現地集合ではなく、キャンプへの行き帰りにあちこち寄り道をしながら、たくさん遊んでいました。メンバーとは年に2、3回くらいしか会わないので積もる話も多く、自分にとって大切な時間だったことを覚えています。
- キャンプなどに参加してよかったことは何でしょうか。
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C.Yさん:私は親の立場で、キャンプなどで血友病の子どもたちが元気に過ごしている姿を見て、安心したことを覚えています。親の安心感は、子どもにも自然に伝わり、本人の安心にもつながったと思います。
息子が血友病だと診断されたころは、インターネットの情報には血友病に対する誤解を生むようなものもありましたから、ロールモデルのようにいろいろな世代が集まるキャンプはとても貴重でした。期間中には、勉強会や自己注射の手技を体験する時間もあり、多くのことが得られる機会でした。N.Oさん:やはり、実際に体験した人の話を直に聞くのが一番だと私は思っています。学校の同級生に自分の病気のことを話すのか話さないのか、体育の授業をどうしているのかなど、先輩や同輩と接して教わることも多かったです。
アットホームな雰囲気が強み
- いま、患者会に参加することのメリットを教えてください。
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Y.Nさん:主治医には聞きづらい、ちょっとした困りごとの相談が気軽にできるのは、患者会に参加する大きなメリットです。
福友会でもイベントのさいなどに、ちょっとした相談会のようになることがあります。自分から悩みを打ち明けるのが苦手でも、経験豊富な先輩方の意見や、同じような悩みを持っている人の話を聞いたり、皆で考えてみたりすることで得られるものがあります。C.Yさん: 1対1で「何か悩みはありませんか」と聞かれてもなかなか言いだしにくいものです。イベント時はアットホームな雰囲気もあって、例えば誰かが「もうすぐ幼稚園に入るんだけど、みんな先生にはどういうふうに話してる?」とか「注射を嫌がるの、どうしたらいいかな」と話しだすと、似たような悩みを訴える声が次々と出てきます。
今は、昔に比べて治療も薬も進歩していて、世代の違う私たちの経験が必ずしも役立つわけではありません。しかも、血友病は症状の重さや出方がさまざまで、その悩みも十人十色です。
でも、それでも、それぞれ抱えている悩みを吐き出して、話し合える場はとても貴重で、その場で得られるさまざまな意見から、皆さんで取捨選択して参考にしてもらえればいいなと思っています。
広く門戸を開き、気軽に集える場を
- 福友会に連絡したいときはどうすればよいですか。
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Y.Nさん:福友会の問い合わせ先は、産業医科大学病院の代表番号になっています。少し緊張するかもしれませんが、患者会の名前を出せば、血友病センターの担当の看護師さんにつながるようになっています。紹介者は必要ありません。興味のある方はどなたでも気軽にお問い合わせください。
- 最後に今後の目標をお聞かせください。
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N.Oさん:若い方、新しい方にも気軽に楽しく参加してもらえる会にしていきたいと思っています。
キャンプは日帰りですと、ようやく仲良くなってきたところで時間切れになってしまうこともあり、もっとゆっくり話す時間を持ってもらいたいとも考えています。Y.Nさん:そうですね。子どもや若い方を含め、参加者に魅力を感じてもらえる楽しいキャンプを続けていきたいと思っています。そのため、宿泊を伴うキャンプを復活できればと考えています。宿泊のいいところは、ボランティアの方々が小さな子どもの面倒を見てくださることで、お母さん同士、お父さん同士、同年代同士などでお茶やお酒を飲みながら気楽に話す場ができることです。
C.Yさん:活動の活性化、宿泊を伴うキャンプを実現するために役員等を含め、患者会全体のマンパワーも増やしていきたいと思っています。
また将来的に浮上すると思われる医療費の課題に対して、患者会は必ず重要な役割を担うはずです。これから始まる、血友病を含む「血液凝固異常症レジストリ」への参加も、会員の方に働きかけていきたいと思っています。
お話をうかがった方
会長 Y.Nさん
血友病A 重症、40代。兄も同じ血友病患者。親と兄がすでに入会しており、0歳で入会。以来、40年以上続けて参加し、2016年に会長に就任。
副会長 N.Oさん
血友病A 重症、30代。0歳で入会後、継続して参加している。実行委員を担った後、2024年に副会長に就任。サマーキャンプ時にはマイクロバスの運転手も務めている。
会計監査 C.Yさん
血友病Aの息子(20代)の母親。2006年に入会し、2012年に役員に就任。会計監査他、書記やデータ管理を担当している。
福岡県ヘモフィリア友の会(福友会)
- 【創 立】
- 1972年
- 【会 長】
- Y.N
- 【会員数】
- 38世帯(世帯管理)
- 【所在地】
- 福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1 産業医科大学病院 血友病センター内
- 【連絡先】
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TEL:093-691-1611(病院代表番号)
FAX:093-691-0324 - 【活動内容】
- 血友病患者・家族の交流を深めるとともに、病気とともに歩む人生の中で遭遇するさまざまな課題に向き合い、生活の質(QOL)を向上させることを目的に、年に1回の総会とサマーキャンプや勉強会などの活動に取り組んでいます。
現在、サマーキャンプは日帰りバーベキュー(コロナ禍前は、1泊2日)で、事務局のある産業医科大学病院から医療者の方々も参加されます。引き続き、勉強会&交流会も計画しています。福岡県だけでなく、九州沖縄各県、山口県からも参加者があり、会員でない方々の参加も歓迎しています。