成人血友病患者さんの口腔ケアのポイント

2024.11.08

監修

奈良県立医科大学 口腔外科学講座 講師 柳生 貴裕 先生

奈良県立医科大学 小児科学教室 教授 野上 恵嗣 先生

口腔ケアをどのように行うかは、ライフステージごとに異なります。
年齢・世代ごとに異なる口腔ケアのポイントを以下にまとめました。

成人期(20~40 歳)

説明イラスト:成人期(20~40 歳) この世代は、仕事や育児、家事などの忙しさで、口腔ケアを怠りがちになる世代と言えるでしょう。口腔ケアをおろそかにしていると、歯肉炎(歯茎の炎症)が起きやすくなり、その状態を放置していると、歯周炎に進行することがあります。そうなると、出血も頻繁に起こるようになってしまいます。日頃の丁寧なブラッシングに加えて、定期的な歯科検診を受けることが大切です。

壮年期(40~65 歳)

説明イラスト:壮年期(40~65 歳) 50歳代以降になると、歯周病が進行しやすくなります。歯周病によって歯肉が下がると、歯根が露出します。露出した歯根は虫歯になりやすいため、特に注意して歯みがきをする必要があります。歯みがきの際には、露出した歯根に歯ブラシの毛先を当てて小刻みにみがくことが大切です。
また、歯周病は出血リスクを増大させるだけでなく、最悪の場合、抜歯が必要になることもあります。3~6か月ごとに定期的な歯科健診を受けるようにしましょう。

高齢期(65 歳以上)

この世代になると、残っている歯に加え、入れ歯(義歯)のケアが必要な方も増えてきます。
入れ歯を清潔に保つために、毎食後に入れ歯を外して流水で洗い、専用のブラシで軽くこするようにしましょう。部分入れ歯の場合は、ばねの部分も丁寧に洗浄してください。就寝時は、きれいに洗った入れ歯を水に浸しておくことをおすすめします。入れ歯用の洗浄剤の使用も効果的です。入れ歯は、乾燥すると亀裂が入ったり、割れやすくなったりするので注意するようにしましょう。
また、加齢や薬剤の副作用などの影響で口腔内が乾燥しやすくなる方もいらっしゃいます。口腔内が乾燥すると炎症が起こったり、粘膜が弱くなったりするので、粘膜出血が起こりやすくなります。口腔湿潤剤を使って保湿に努めたり、唾液腺マッサージを行って唾液分泌を促したりすることが大切です。
説明イラスト:高齢期(65 歳以上) 説明イラスト:高齢期(65 歳以上)
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