歯科に通院するときの注意点

2024.11.08

監修

奈良県立医科大学 口腔外科学講座 講師 柳生 貴裕 先生

奈良県立医科大学 小児科学教室 教授 野上 恵嗣 先生

血友病の知識がある歯科医を紹介してもらう

歯の治療では、出血を伴う処置を行うことがあるので、血友病についての知識がある歯科医に診てもらうことが重要です。また、歯の治療中に予期しない出血が起こる可能性もあるので、血友病治療医と連携している歯科医院を選ぶのがよいと思います。
したがって、まずは主治医の先生に相談し、歯科医を紹介してもらうとよいでしょう。

歯科医の先生に伝えるべきこと

安心して歯の治療を受けるために、少なくとも下記の5項目は必ず歯科医に伝えてください。その情報をもとに、歯科医は慎重に治療を進めます。

血友病の病型

血友病の重症度を歯科医がわかっていることが重要です。

現在治療を
受けている医療機関

血友病治療医と連携するために必要な情報です。

血友病の治療状況

製剤は忘れずに投与しているか、出血はどのくらいの頻度で起こっているか、などを確認します。

これまでに受けた
歯の治療

これまでに受けた歯科治療のなかで、局所麻酔をしたときに問題がなかったか、抜歯などを行ったことがあるか、などを確認します。

歯以外に
治療を受けている病気

感染症や基礎疾患の有無を確認します。

治療の種類によって出血の可能性が異なる

歯の治療中に出血するかどうかは、治療の種類によって異なります。また、患者さんの血友病の重症度によっても出血の程度が変わってきます。歯科処置ごとの留意点を表にまとめました。

出血の可能性が少ない歯科処置

処置の種類

歯と歯ぐきが接している部分の上部の歯石除去、局所麻酔が不要な治療、ブラッシング指導、など

対応方法

定期補充療法などの治療で止血コントロールできている方は一般の患者さんと同様に治療を行います。

出血の可能性がある歯科処置

処置の種類

歯と歯ぐきが接している部分の下部の歯石除去、局所麻酔が必要な虫歯治療や補綴(ほてつ)処置、など

対応方法

血友病主治医と緊密に連携し、歯科治療の内容について治療前に共有します。主治医からの情報と患者さんからの情報をもとに、慎重に治療計画を立てます。

抜 歯

歯の種類

歯の状態(位置、生えている方向、虫歯や歯肉炎の有無など)によって治療の難易度や出血リスクが異なります。下の親知らずは、その他の歯に比べて出血リスクが高いため注意が必要です。

対応方法

「出血の可能性がある歯科処置」と同様に、血友病主治医と患者さんからの情報をもとに、慎重に治療計画を立てます。
治療中に、凝固因子製剤の補充が必要になることがあります。
出血リスクが高い場合は、止血管理のために入院が必要になることもあります。

定期的に歯科検診を受け歯の健康を維持する

説明イラスト:定期的に歯科検診を受け歯の健康を維持する 将来にわたって健康な歯を維持していくために、そして、口の中の出血リスクを減らすために、定期的に歯の状態をチェックしてもらうことはとても重要です。正しく歯がみがけているか、歯に歯垢が残っていないか、歯茎の健康は保たれているか、などを定期的にチェックしてもらうことをおすすめします。可能であれば、3~6か月に一度は歯科検診を受けるとよいでしょう。
かかりつけの歯科医の先生がいない患者さんも少なくないと思いますが、なんでも相談できる歯科医を持つことをおすすめします。
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