足のつま先の形によって、選ぶべき靴の形が異なります。
多くの女性が、「私の足に合う靴がない」「外反母趾で、どんな靴を履いても足が当たって痛くなってしまう」と悩んでいます。実は、それらの悩みの多くは、自分の足のサイズやワイズをきちんと測ったり、足の形の特徴をきちんと把握していなかったりすることに原因があると考えます。
足は体重がかかると、その重みで形が変わり、サイズ・ワイズ・足幅が変化します。実は、13〜90歳までの女性3,540名の足を計測したデータによると、体重がかかっている時(荷重時)と、かかっていない時(非荷重時)のワイズには、平均で16mmの差がありました1)。
靴の幅はE、2Eなどと表示されますが、この16mmの差とはEと3Eの差に相当します。したがって荷重時のワイズで靴を選んでしまうと、2まわりも大きい靴を履くことになってしまうのです。このため、必ず荷重時と非荷重時、両方での足の大きさを測定してその差を割り出すようにしてください。差が大きい方は、非荷重時のワイズを基に靴を選ぶとフィット感が得られ、歩行が安定します。
また、足のつま先の形は、エジプト型(親指が一番長いタイプ)、ギリシャ型(足の人さし指が一番長いタイプ)、スクエア型(指の長さがほとんど同じタイプ)、の3タイプに大きく分かれます。それぞれの形に合わせて、オブリーク型(親指を頂点に小指にいくにしたがって短くなるカーブを描く)、ラウンド型(人さし指もしくは中指を頂点に対称的なカーブを描く)、フレンチ型(指の長さが変わらず、四角い形になっている)、を選ばなければ、つま先部分が靴の中で変形し、外反母趾などを“作ってしまう”こともあるのです【図8】。ご自身のつま先と今、履いている靴の形が合っているかを調べてみましょう。
なお、外反母趾になってしまったら、足が靴の中で前滑りしないように、ヒールがなるべく低く、足の甲の部分をしっかりホールドする紐やベルトがついた靴がお勧めです。また、オーダーメイドの中敷き(インソール)を入れると、全身の歪みやバランスが整えられ、外反母趾の方がなりやすいとされる変形性膝関節症を予防することもできます。一度、資格を持ったシューフィッターやフットケアトレーナーなどの靴の専門家に靴選びを相談するとよいでしょう。
1)内田俊彦:靴の医学 23(2) 99-104, 2009