足の役割

2018.07.31

監修

奈良県立医科大学 整形外科学教室 教授 田中 康仁 先生

足は全体重を支えるという役割があり、
大きな負荷がかかるため外傷や障害が起きやすい部位です。

足は私たちのからだの中で唯一、地面と接する部位です。歩くときには全体重を支え、衝撃を吸収し、前に進む力をからだに伝えるという重要な働きを担っています。私たちのからだはおよそ200個の骨で構成されているといわれていますが、足にはそれぞれ28個の骨があり、両足でからだの4分の1にあたる56個もの骨があります。また、その作りも複雑で、大小さまざまな骨が関節と靭帯で結合され、筋や腱で補強された非常に精緻で立体的な構造をしています【図1】。

足関節(そくかんせつ:足首の関節)は底背屈の役割をにない、その下の距骨下関節(きょこつかかんせつ:踵の上の関節)は内・外がえし方向に動くために、足先を上下左右、いろいろな角度に自在に動かすことができるようになります。つまり、両方の関節の動きが合わさりひとつの“ユニバーサル・ジョイント”として働きます【図2】。このユニバーサル・ジョイントによって、どのような形状の地面でも足底で的確に捉え、からだを安定させながら歩くことができるのです。

足関節は私たちの全体重を支えているため、日々大きな負荷がかかっています。そのため、健康な方でも外傷や障害が起こりやすいのですが、血友病の方では膝関節や肘関節と並んで関節内出血が生じやすい三大関節のひとつで、腫れや痛みといった症状が好発します。幼児期の歩き始めの頃に、足首を捻挫して腫れや内出血がなかなか治まらないために医療機関を受診したところ血友病であることが判明した、というケースが散見されるのはそのためです。

【図1】 足の構造
図:足の構造
【図2】 ユニバーサル・ジョイント
図:ユニバーサル・ジョイント
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