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市販の靴のサイズや特徴を知ろう

2019.01.11

監修

特定非営利活動法人(NPO)オーソティックスソサエティー 理事長 整形外科医 内田 俊彦 先生

靴のサイズ表記や特徴についても理解しておきましょう。

日本の靴のサイズはJIS(日本工業規格)に基づいてサイズ(足長)・ワイズ(足囲)・足幅の寸法を表示するようになっています。JISで子ども靴はサイズ10.5~26cmまで、ワイズはB、C、D、E、2E、3E、4E、F、Gの9タイプ、男性用靴はサイズ20~30cmまで、ワイズはA、B、C、D、E、2E、3E、4E、F、Gの10タイプ、女性用靴はサイズ19.5~27cmまで、ワイズはA、B、C、D、E、2E、3E、4E、Fの9タイプが規定されています【表】。

(画像をクリックすると拡大表示できます。)

子ども用サイズ表
図:子ども用サイズ表
男性用サイズ表
図:男性用サイズ表
女性用サイズ表
図:女性用サイズ表

しかし、前述したように、日本人の足は幅広・甲高だと誤解され、細い幅の靴の需要が少ないと思われているためか、大人用でA~Dの細いタイプのものはあまり市販されていません。また、子ども靴は大半が2Eです。さらに、こうしたJIS規格があるにもかかわらず、製靴メーカーごと、あるいはデザインごとにサイズやワイズが異なります。したがって、靴の表記を鵜呑みにすることなく、必ず試し履きをして足に合っているかを確かめましょう。

ちなみに、大人用の靴と子ども用の靴では、ワイズのアルファベット表記は同じでも幅が異なります。たとえば、大人用の2Eは子ども用の2Eより2サイズも幅が広いのです。よって、子どもの頃に23cmの2E を履いていたからといって、そのまま大人用の23cmの2Eを選ぶと、ぶかぶかになってしまいます。そうした方の場合、本来は23cmで、2Eより2サイズ小さいDサイズを選ばなくてはならないのです。ただし、Dサイズを取り扱っている靴店は非常に少ないので、厚みのある中敷きを入れたり、靴紐で縛るタイプのものを選んだりするといった工夫をしましょう。

なお、ウオーキングシューズならば、男性用・女性用でデザインに大きな差はないので、サイズが合えば男性が女性用のウオーキングシューズを履くこともできます。しかし、子ども用のスニーカーなどは安価な素材で作られていることが多く、耐久性に乏しいため、大人が子ども用の靴を履くのはあまりお勧めできません。

フットケアトレーナーは、足と靴が原因で起こるさまざまなトラブルを医学的根拠に基づいて分析し、足に合った正しい靴を選んでくれる専門家です。

みなさんは靴を選ぶ時、資格を持ったシューフィッターやフットケアトレーナーなど靴の専門家に相談していますか?

靴の専門家は、専用の測定機器を用いて足の大きさを正確に測定してくれます。また、歩き方の癖やバランス、足の硬さや足裏の状態、そして履いている靴裏の摩耗状態などを調べて医学的根拠に基づいて分析し、適切な靴を選んでくれます。専門家が選んだ靴の中から、試し履きをして自分の足の感覚にフィットするものを選択するとよいでしょう。

なお、その試し履きの際には、その靴でしばらく歩いてみて本当に自分の足に合っているかを確認することが大切です。また、靴は履いているうちにだんだん変形し、靴底や中敷きも摩耗してきます。「靴は買ったら終わり」ではなく、定期的なメンテナンスや買い替えも必要なのです。できれば3ヵ月に一度、最低でも半年に一度は専門家に靴のチェックやメンテナンスを依頼していただきたいと思います。

★フットケアトレーナー
足の構造や機能、またトラブルにも精通する数々の知識(講習会に参加等)と実践を積み、 認定テストに合格したNPO法人オーソティックスソサエティーの会員。

血友病の方は、靴が原因で起こるトラブルを未然に防ぐため、
より高い予防意識を持って足にぴったり合った靴を選んでいただきたいと思います。

私は、足に合わない靴を履き続けることは、“生活習慣病”の原因を作っていることと同じだと考えています。 “足に合わない靴をずっと履き続ける”という長年の悪しき生活習慣が、将来的に外反母趾や変形性膝関節症、さらには身体の不調につながることもあるからです。

一方で、生活習慣病が日常生活を見直すことで予防や改善ができるのと同様に、足にぴったり合った靴を履いたり、靴に補正用の中敷きを入れたりすることで外反母趾や変形性膝関節症などを未然に防いだり、悪化しないようにしたりすることもできるのです。

血友病の方の靴選びは、基本的に一般の方と同じでよいと思います。しかし、前述したように靴による足のトラブルは、“生活習慣病のようなもの”であるため、“予防の意識”を持つことが大切です。そうした観点から、血友病の方には血友病性関節症に起因する尖足などのトラブルを回避するため、より高い予防意識を持って足にぴったり合った靴を選んでいただきたいと思います。

★尖足
長い間、足関節を動かさないでいると、関節の動く範囲(可動域)が制限されたまま関節が固まってしまい、 足先が下がって甲の部分が伸びて、踵(かかと)が地面につかない状態になること。
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