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保因者診断とは

2019.07.16

監修

独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 感染症内科 医長 西田 恭治 先生

静岡県立こども病院 血液腫瘍科 医長 小倉 妙美 先生

保因者診断を受ける前に

保因者かどうかを調べる方法としては、家族歴から家系図を作成する家系調査と、保因者診断の検査(血液凝固検査、遺伝学的検査)があります。保因者診断は、自身の凝固機能(止血のしやすさ)から日常生活の注意点がわかったり、出産時に子どもの出血リスクを減らす分娩方法を選択したりできるという点で意義があります。ただし、保因者診断を受けるか受けないかは、本人の自由意志で決めます。

家系調査(家系図の作成)

血友病の保因者であるかどうかを知るためには、まず家族や親戚の中に血友病の方がいないかどうか、いる場合にはどのような血縁関係にあたるかなどの情報を確認し、整理します。
それによって、保因者であることが明らかな「確定保因者」、あるいは、保因者の可能性がある「推定保因者」であるかどうかがわかります。保因者の分類

説明イラスト:家系調査(家系図の作成)

保因者診断のための検査

保因者かどうかを診断するための検査には、「血液凝固検査」と「遺伝学的検査」があります。

血液凝固検査

確定保因者の血液凝固因子活性(第VIII因子または第IX因子がどの程度働いているかという指標)は、保因者でない人に比べて低く、理論的には約50%です。そのため、採血をして血液凝固因子活性を測ることで、保因者である可能性を調べるのが「血液凝固検査」です。血液凝固因子活性には個人差があり、様々な要因で変動するため、採血は日時を変えて3回以上行うのが望ましいとされています。しかし、この検査は診断目的ではなく、可能性の推測にとどめるべきとされています。

遺伝学的検査

血友病に関する遺伝子はX染色体の上にあり、保因者とは“2つのX染色体のうち1つに血友病の原因となる遺伝子変異を持っている女性”です。血友病の保因者とは
そのため、遺伝子を解析して血友病の原因となる遺伝子変異があるかどうかを検出するのが「遺伝学的検査」です。
遺伝学的検査では、保因者診断を希望される方が持つ遺伝子変異が、家系内の血友病の方の遺伝子変異と同じかどうかを照合するため、家系内の血友病の方の同意と協力が必要です。また、検査は保因者本人の意思で行うものであるため年少時には行いません。
遺伝学的検査は血液凝固検査よりも信頼性の高い検査であるといえます。しかし、診断に至らない場合もあること、時間と費用がかかること、限られた施設でのみ可能なことに注意が必要です。

説明イラスト:遺伝学的検査

保因者健診とは

保因者健診は、保因者診断を受けているかどうかに関わらず、保因者および保因者の可能性があるすべての女性を対象とした医療支援の取り組みのひとつです。 月経過多など出血や止血の悩みがあれば一人で抱えこまず、まずは血友病の診療をしている医療機関で相談してみましょう。

説明イラスト:保因者健診とは

独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 感染症内科 医長 西田恭治先生 作成

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<用語解説>
後天性血友病:
体内に存在している血液凝固因子を異物とみなし、排除しようとする自己抗体によって、血液凝固因子の働きが悪くなり突然止血できない状態になる疾患。年間100万人に1.5人の割合で発症するといわれており、免疫機構の異常が関連していると考えられているが詳細はわかっていない。
<用語解説>
血小板:
赤血球や白血球と同様に、血液中に存在する成分の1つ。けがや傷による出血を止める際に重要な役割を果たしてくれる血球のこと。