⾎友病の検査
⾎友病かどうかは、出⾎の症状・⾎友病の⽅が家族内にいるかという家族歴と⾎液検査によって診断されます。⾎液検査ではまず、 「⾎⼩板の数」、「APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)」、「PT(プロトロンビン時間)」、「フィブリノゲン値」の4つの項⽬を測定します。これらのうち、APTT だけが基準範囲よりも延⻑している場合に、⾎友病の疑いがあると判断され、確定診断のために、凝固因⼦の活性値(働き)を調べる「凝固因⼦活性」を測定します。このほかに、後天性血友病 やフォン・ヴィレブランド病 との鑑別のための検査を⾏います。
⾎⼩板の数 | ⾎液中の⾎⼩板の数を測定します。基準範囲は15〜35万個/μLとされ、⾎友病では⾎⼩板の異常ではないので基準範囲内です。 |
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APTT (活性化部分トロンボプラスチン時間) |
第VIII(8)因⼦・第IX(9)因⼦を含む⾎液凝固因⼦の働きにより、⾎漿が固まるまでにかかった時間を測定する検査。基準範囲は30〜40秒ですが、⾎友病では50〜150秒に延⻑します。ただし軽症型⾎友病Aでは延⻑が軽度で見過ごされることがあるので注意が必要です。 |
PT (プロトロンビン時間) |
第VIII(8)因⼦・第IX(9)因⼦を含まない⾎液凝固因⼦の働きにより、⾎漿が固まるまでにかかった時間を測定する検査。基準範囲は11〜15秒とされ、⾎友病は第VIII(8)因⼦・第IX(9)因⼦以外の⾎液凝固因⼦の異常はないので基準範囲内です。 |
フィブリノゲン値 | フィブリノゲンも凝固因子の1つですが基準範囲の下限よりさらに低くならないとAPTTやPTに反映されないため単独で測定しておくことが必要です。 |
凝固因⼦活性 | 正常な⾎漿の正常な血漿の値を100%として、不⾜している凝固因⼦の働き度合いを測定します。凝固因子活性値が40%未満の場合に⾎友病と診断されます。 この検査では、⾎友病の重症度も判定することができ、1%未満の場合を重症型、1%以上〜5%未満を中等症型、5%以上を軽症型と判断します。 ⾎友病の重症度 |
インヒビターの検査
⾎液凝固因⼦製剤による治療を行っているうちに、患者さんによっては投与された⾎液凝固因⼦を体が異物とみなし、体から排除しようとする抗体「インヒビター」ができてしまうことがあります。インヒビターは⾎友病Aで20〜30%、⾎友病Bで3〜5%の⽅に発⽣するといわれています。インヒビターの発⽣に気づくのが遅れると適切な⽌⾎が⾏われず、出⾎が起こってしまうだけでなく、従来の血液凝固因子製剤が無効となり治療が困難となります。インヒビター発生後も⾎液凝固因⼦製剤を使い続けることでインヒビター⼒価(インヒビターがどの程度発⽣しているか)を増加させるため、定期的なインヒビター⼒価の測定が必要です。
インヒビター⼒価測定の⽬安
- 製剤の累積投与回数が3回⽬頃から
- 投与回数3~5回ごとまたは、1〜2ヵ⽉ごと
- 製剤の累積投与回数が50回超え
- 3〜6ヵ⽉ごと
- 製剤の投与開始から1年経過
- 6ヵ⽉〜1年に1回
投与回数が50回を超えてくるとインヒビターは発生しにくくなるといわれています。
関節評価にかかわる検査
関節の状態を確認するためには、レントゲン撮影(X線画像)のほかに、出⾎や滑膜の状態を確認しやすいMRI(核磁気共鳴画像法)やすぐに検査ができて負担が少ない超⾳波検査(ultrasonography:US)などが⽤いられます。
血友病性関節症って何?