乳児期から思春期までのお口のケア術

2024.11.08

監修

奈良県立医科大学 口腔外科学講座 講師 柳生 貴裕 先生

奈良県立医科大学 小児科学教室 教授 野上 恵嗣 先生

口の中のケアは、年齢・世代ごとに違いますか?

口の中のケアをどのように行うかは、ライフステージごとに異なります。
年齢・世代ごとの注意点を以下にまとめました。

乳児期(0~1歳)

説明イラスト:乳児期(0~1歳) 生後6か月頃までは歯が生えていないため、積極的な口腔ケアは必要ありません。授乳後のミルクの残りも、唾液によって洗いながされるので自然にきれいになります。
生後6か月を過ぎると下の前歯が生えてきます。この時期から離乳食が始まりますが、乳も離乳食も唾液によって流されるので、この時期も積極的な口腔ケアは必要ないでしょう。しかし、歯ブラシを使った“慣らしみがき”を始めることをおすすめします。
生後10か月頃になると上の前歯が生えてきます。この歯は唾液だけでは洗い流しにくく、歯についた汚れが落ちにくいため、歯ブラシによる歯みがきが必要になります。この歯みがきの導入期に、きちんとした歯みがき習慣をつけることが大切です。

幼児期(1~6歳)

説明イラスト:幼児期(1~6歳) 1歳頃には前歯が生えそろい、やがて奥歯が生えてきます。そして、3歳くらいになるとすべての乳歯が生え揃います。
すべての歯が揃うと、歯と歯がぴったりとくっつくようになるので、そこが虫歯になりやすくなります(特に上の前歯の歯と歯の間、奥歯のかみ合わせ部分)。1日1回は歯みがきをするようにしましょう。この時期は、糖分を含む食べ物や飲み物をとることが多くなるので、フッ素入りの歯みがき粉を使うことも虫歯予防のためには有効です。
お子さんが自分で歯みがきをする場合には、必ず保護者の方が「仕上げみがき」をしてあげてください。
なお、お子さんが歯ブラシでケガをしてしまうこともあるので、歯みがきをしているときはおとなしくしていられるようにしたり、歯ブラシを持ったままふざけたり遊んだりしないようにしましょう。

学童期(6~12歳)

説明イラスト:学童期(6~12歳) 6歳頃から下あごの一番奥に、奥歯(第一大臼歯)が生えてきます。この時期に、乳歯から永久歯への生え変わりが始まります。第一大臼歯が生えるのには1年から1年半くらいかかるので、歯ブラシを当てにくい期間が続きますが、永久歯の基礎となる重要な歯なので、虫歯にならないように気をつけるようにしましょう。
歯が抜け変わり、歯ならびが凹凸になっていくとみがき残しが多くなり、虫歯や歯肉炎になりやすくなるため、「食べたらみがく」を心がけましょう。血友病患者さんでは、軽度の歯肉炎でも出血の原因になることがあるので注意が必要です。
なお、歯の生え変わりの時期は歯ぐきに腫れがあることがあるので、歯みがきをするときは、歯ぐきを傷つけないように注意してください。
12歳頃には永久歯が生え揃いますが、生え始めの永久歯は虫歯になりやすいため、3~6か月ごとに歯科検診を受けて、口の状態に合った歯みがき方法を指導してもらうことをおすすめします。

思春期(12~20歳)

説明イラスト:思春期(12~20歳) この時期はホルモンバランスの変化や生活の変化により、歯肉炎が生じやすくなります。
ブラッシングの際は、食べ物のカスがたまりやすい歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目、奥歯の噛み合わせ面を重点的にみがくようにしましょう。
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