正しい靴選びの前に、まずは自分の足を知ることから始めましょう。
足は体重がかかると、その重みで形が変わり、サイズ・ワイズ・足幅が変化します。変化量の平均値としては、12歳以上の場合、サイズで8~10mm、ワイズで15~18mm程度といわれています。しかし個人差が大きく、中にはワイズで30~40mmぐらいの差がある方もいます。
体重がかかっている時(荷重時)と、かかっていない時(非荷重時)で、大きさが変わりやすい足を“柔らかい足”、あまり変わらない足を“硬い足”と呼びます。過去に足にケガをしたり、手術をしたりした方では、もとの皮膚や筋肉にあった柔軟性が失われてしまい、“硬い足”になることがあります。
柔らかい足の方は順応性があるので、少々幅が細い靴でもフィット感を得られるのですが、硬い足の方は順応性に乏しいため、幅が細い靴だと圧迫感があるかもしれません。
自分の足が柔らかい足か硬い足かを判断するためには、スマートフォンやデジタルカメラで、立って体重をかけた場合と、座って体重をかけていない場合の足の写真を撮って比べてみるという方法があります【図5】。
なお、足の大きさは季節や時間帯によっても変化します。興味深いことに、子どもの足は冬よりも夏に成長します。日本では新学年が始まる春に靴を新調する方が多いと思いますが、子どもの足の成長時期を考慮すると、靴の購入は夏休みが終わる頃にしたほうがよいでしょう。
また、よく「足は夕方にむくむので、靴は夕方に買うとよい」といわれます。しかし、足がむくむ時間帯は、日中どのような姿勢で過ごしているかによって異なるため、一概に夕方にむくみが出るとは限りません。一度、自分の足をよく観察し、むくみがひどい時間帯を知っておくようにしましょう。
さらに、足は加齢に伴って変形していきます。足は、アーチ構造になっていますが【図6】、年齢を重ねるごとに足の筋力が落ち、靭帯もゆるんでアーチ構造がへたってくるからです。このため、40代ぐらいになれば、足のサイズ・ワイズ・足幅を見直したほうがよいでしょう。