スポーツと検査

2018.05.22

監修

東京大学医科学研究所付属病院 関節外科 診療科長 竹谷 英之 先生

スポーツを始める前には主治医と相談し、
止血管理の状況や全身の身体機能を確認するようにしましょう。
また、X線検査で関節評価をしておくと、
その後、そのスポーツを継続してもよいかの客観的な評価ができます。

実際にスポーツを始める際には、主治医に伝え、どのような止血管理(定期補充療法・予備的補充療法)が必要になるかの指導を受けるようにしましょう。また、できればその時点でX線検査を行っておくとよいでしょう。医師によるX線検査での関節評価は重要です。なぜなら、自覚症状があまりなくても血友病性関節症が進行している場合もあるためです。また、スポーツを始める前にX線検査を行っておくと、その検査結果(画像)とスポーツを始めた後での画像を見比べることで、どのように関節が変化したかを医師が評価することもできます。

『これぐらいは大丈夫』と自分の感覚で始めたスポーツが、本当に自分に合っているか、続けても支障がないかを医師がX線検査で経時的、かつ客観的に評価することは将来の体調のためにもとても大切だと思います。

写真:竹谷英之先生

スポーツ開始時にはウオーミングアップ、終了時にはクーリングダウンを行いましょう。
スポーツをして出血が起こった場合はまずは「R.I.C.E」で対応してください。

いきなりからだを動かすと関節に負担をかける上に捻挫などのケガにつながります。スポーツを開始する前には必ず柔軟体操などのウオーミングアップを行い、からだをほぐすようにしてください。また、スポーツを終了した後はストレッチなどを行ってクーリングダウンし、スポーツで上昇した筋肉の温度を下げるようにしましょう。

スポーツを行っている最中に、体調がいつもと違うと感じたら、休止して安静にするか医療機関を受診するのかをご自身で判断し、適切に対処していただくことが大切だと思います。

【表3】関節内出血や筋肉内出血時の対応「R.I.C.E」

Rest(安静) 横たわり、安静を保つ
Ice(冷湿布) 氷や保冷剤、冷却スプレーで患部を冷やす
Compression(圧迫) 患部を適切に圧迫する
Elevation(拳上) 患部を心臓よりも高い位置に保つ

もしも運動中に関節内出血や筋肉内出血が起こった場合は、事前に担当医と決めておいた止血方法を行うとともに、「R.I.C.E(安静・冷湿布・圧迫・拳上)【表3】」を行ってください。なお、関節内出血や筋肉内出血といった明らかな出血が起こった場合には、スポーツを再開するまでの期間は、担当医との相談になりますが、およそ10日~2週間が目安となるでしょう。また、運動の再開時は、急に全力を出すと出血の再燃につながるので、少しずつからだを慣らしていくようにしましょう。

「スポーツを始める前の医師とのコンサルテーション」は、
自身の体力や血友病についての知識をあらためて確認するよいきっかけになると考えます。

スポーツを始めるにあたって、一度、X線検査を行って関節の状態を把握しておいたり、自身の止血管理の状況を見直したり、医師とじっくり話すことは非常に有意義なことです。私たちのからだは年齢が進むとともに、どんどん変化していきます。血友病治療の情報を最新のものにアップデートし、今のからだの状態を正しく把握しておくことはとても大切なことだと思います。

写真:竹谷英之先生

スポーツを始めるのに遅すぎることはありません。ご自身で興味があるもの、楽しめそうなスポーツにぜひチャレンジしていただきたいと思います。さあ、あなたも一歩、踏み出してみませんか。

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