血友病性関節症Q&A

2024.07.08

血友病性関節症とは、どのような病気ですか?
血友病性関節症は、足関節、肘関節、膝関節などの関節内で出血を繰り返すことによって引き起こされる関節障害です。進行すると関節破壊や骨の変形が起こり、強い痛みを伴うことから、関節が動かしにくくなります。また、最終的には関節が動かなくなる場合もあります。 関節内出血が起こると、関節内の血液を取り除くため、滑膜が働き、その結果、滑膜の増殖と炎症が起こり、痛みや熱感、腫れを引き起こすと考えられます。また、このときに細い血管が増えるため、より出血しやすくなります。なお、関節内出血を繰り返すと、過度な滑膜増殖や炎症が続くことになります。関節内に増えた炎症物質は関節の軟骨を攻撃して、関節破壊、骨の変形へ至ると考えられます。
血友病性関節症が起こりやすい関節はありますか?
関節内出血が起こりやすいのは足関節、肘関節、膝関節です。とくに足関節には体重の負荷がかかり、出血しやすいと考えられています。関節内出血を繰り返すと血友病性関節症へと進行することから、出血時には早期の対処(止血)が求められます。 関節内出血の症状は、最初は「ムズムズ」「チクチク」などの関節の違和感があります。この症状に気がつかず、止血が遅れると、熱をもって腫れ(熱感・腫れ)、関節が動かしにくくなります(可動域制限)。また、関節の内部は狭いことから少量の出血でも圧力が加わり、強い痛みを感じるようになります。
血友病性関節症を防ぐために自分でできることはありますか?
一般的に、重症血友病の方ほど出血を起こしやすく、関節内出血による血友病性関節症も多いといえますが、実際には、重症血友病でも関節に問題がない方もいれば、軽症血友病であるがゆえに出血予防管理が行き届いておらず、関節破壊に至る方もいます。 そのため、普段の出血予防管理をしっかり行い、関節内出血が起きたらすぐに止血製剤を投与することが、血友病性関節症を防ぐための第一歩です。また医師と相談のうえ、運動を行って筋肉をつけ、関節の負担を減らすことや、定期的に関節チェックをしてもらい、関節の状態を確認しておくことも大切なポイントです。
定期的な関節チェックでは、どのような検査を行いますか?
定期的な関節チェックでは、関節の動きを確認したり、画像検査によって関節の状態を確認します。この関節チェックは、ある時点における単発の検査ではなく、関節がどのくらいの期間をかけて変化していったのか、その経過を追えることが重要です。 出血予防管理を行っていて関節内出血の自覚がない方でも、血友病性関節症が進行していることもあります。関節の状態を正しく把握するためにも、定期的な画像検査による関節チェックを行いましょう。
血友病性関節症にはどのような治療法がありますか?
血友病性関節症の治療法には、保存的治療と整形外科的治療(手術)があります。 保存的治療では、普段行っている出血予防管理や出血時の止血製剤投与とともに、関節の痛みを抑える薬物療法や、リハビリテーションなどを組み合わせることで、症状の改善を目指します。なお、これらの保存的治療によって症状が改善しない場合には、整形外科的治療(手術)が検討されます
整形外科的治療(手術)にはどのような方法がありますか?
血友病性関節症に対する主な整形外科的治療として、滑膜切除術と人工関節置換術があります。滑膜切除術は比較的進行していない関節症の方に行うことが多く、人工関節置換術は成人以降で末期関節症の方が対象となる手術です。 なお、どちらの手術においても、筋力の低下や可動域制限などを緩和するため、術後のリハビリテーションは必要となります。
血友病性関節症があっても運動はできますか?
筋肉は、からだを守る“プロテクター”の役割をします。この筋肉のプロテクターがあると、関節の負担が減って関節内出血の抑制につながるほか、転倒のリスクを回避しやすくなります。血友病性関節症の方でも、筋肉の重要性に変わりはありません。 ただし、実際にスポーツを始める際には、ご自身の関節の状態を知ったうえで行うことが重要です。医師と相談して、どのような出血予防管理が必要になるのか指導を受けてください。また、その時点でX 線検査による関節チェックをお願いするとよいでしょう。その後の画像と見比べることができるため、スポーツによって関節の変化があったのか確認することができます。
TOPへ戻る