リハビリテーションQ&A

2024.07.08

なぜ血友病性関節症にリハビリは必要なのですか?
血友病性関節症は、主に足、肘、膝などの関節内出血を繰り返すことで引き起こされる関節障害です。 関節内出血が起こると、関節の中で炎症が生じて腫れや痛みの原因となり ます。出血時には安静にする必要がありますが、関節を動かさないままでいると、関節が固くなって動かしにくくなり、筋力も低下していきます。その結果、関節周囲の筋肉が減り、関節内出血が起こりやすくなります。この悪循環を断つためにも、血友病性関節症にリハビリは必要といえます。
どのような人がリハビリの対象になりますか?
血友病患者さんのリハビリは、関節の状態にかかわらず、すべての世代の方 が対象となります。 小児~青年の患者さんでは、関節症状が軽微な方も多いですが、身体パフォーマンスを高めて生活を送りやすくすることや、関節の状態を維持するためにもリハビリが重要です。 血友病性関節症のある患者さんでは、日常生活の動作をしやすくするため、関節機能の維持・改善、関節症の進行抑制を目指したリハビリを行います。
いつからリハビリを行ったほうがよいですか?
血友病患者さんがリハビリを行うと、関節や筋肉が本来あるべき動きをするようになります。運動時の関節への負担を少なくし、出血リスクの軽減につながることから、出血のない方では「いつでも・すぐにでも」リハビリをはじめたほうがよいといえます。 なお、関節の状態や運動習慣が患者さん一人ひとりで異なるため、それぞれ にあわせてリハビリの内容を選択する必要があります。
どこでリハビリを行うことができますか?
近年、血友病治療は進歩しており、血友病患者さんにとってリハビリの敷居も低くなってきたといえます。日常生活で出血がない場合には、リハビリで出血することはほとんどありません。まずは、血友病診療医にご相談ください。 例えば、血友病診療医が整形外科医等や理学療法士と身体活動のレベルなどについて情報共有できると、リハビリ指導してもらうことがスムーズになり、自宅でもリハビリを行うことができます。
血友病患者さんのリハビリではどのようなことを行いますか?
血友病患者さんのリハビリでは、ストレッチのほか、関節可動域の拡大、 筋力強化、日常生活動作の練習など、一般的な骨関節疾患と同じように関節や筋肉の柔軟性を高め、筋力のバランスを整えるリハビリが中心となります。 整形外科医等や理学療法士が、患者さんの関節の状態や、これまでの運動習慣を確認して、患者さん一人ひとりにあったリハビリの内容を決定します。 また、関節を保護するサポーターや、靴の中敷きなどの装具を使うと歩行の 安定性が増すこともあるので、ぜひご相談ください。
自宅でできるリハビリにはどのようなものがありますか?
自宅でできるリハビリは数多くありますが、患者さんの状態にあわせて内容、回数、実施頻度を決めるため、まずは整形外科医等や理学療法士にご相談ください。その際、関節内出血の止血後早期にできる「関節を動かさない筋トレ」も教えてもらい、出血のないときに練習しておくとよいでしょう。
血友病患者さんがリハビリを行う上で、どのようなことに注意が必要ですか?
血友病患者さんのリハビリでは、出血に注意する以外は、ほかの疾患のリハビリと変わりありません。適宜、装具の利用も検討します。なお、以下の症状(痛みがある、関節や筋肉が熱っぽい、関節が腫れている)がある場合は、出血している可能性があるので、リハビリは行わないでください。1日の運動目標は、少しずつ運動量(負荷や時間など)をあげていくのがポイントです。これまでより10分長く歩くなど、少しがんばれば達成できそうな目標を設定します。目標達成にむけた好循環サイクルで、リハビリを継続することが重要です。
リハビリ中に出血したときにはどのように対応したらよいですか?
リハビリ中に出血したときは、適切に凝固因子製剤の注射を行ってください。病院でリハビリ中に出血した場合、医療者に伝え、院内で注射してもらいます。また、自宅でリハビリ中に出血した場合は、患者さん自身が注射することになりますが、出血か迷ったときでも、その状況を記録しておきましょう。 なお、出血時にはまずは応急処置としてRICEを行うのが基本です。この 機会に、RICEの基本的な方法について確認しましょう。
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