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血友病保因者について保因者の妊娠と出産

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保因者の妊娠と出産

2019.07.16

独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 感染症内科 医長 西田恭治先生
静岡県立こども病院 血液腫瘍科 医長 小倉妙美先生

妊娠・出産に対する心構え

保因者である母親から生まれる子どもが男児の場合、1/2の確率で血友病の原因となる遺伝子変異があるX染色体を受け継いで血友病となります。⇒血友病の保因者とは
保因者が妊娠・出産を考える時、生まれてくる子どもが血友病かもしれないということに不安を感じるかもしれません。しかし近年、血友病をめぐる医療は進歩を遂げており、出血ゼロを目標に適切な治療を続けていけば、他のお子さんと変わらない生活を送ることができる時代になっています。
ご家族やパートナーとともに血友病に関する正しい情報を得て、妊娠・出産についてじっくり話し合うことが大切です。

妊娠中の出血リスクへの対応

保因者の血液凝固因子活性には、個人差があります。血友病A保因者の場合、第VIII因子活性は分娩後期に向かって増加することが多いものの、低いままの保因者も一部います。また、血友病B保因者の第IX因子活性は、妊娠経過中に上昇しないことがわかっています。このため、妊娠の初期、中期、後期に血液凝固検査(⇒保因者診断とは)を行って出血リスクに備えます。
妊娠中の出血リスクを回避するための適切な対応を受けるには、血友病の診療をされている先生に相談するとともに、産科の先生にも「自分が保因者であること」、もしくは「保因者の可能性があること」を前もって伝えておく必要があります。必要に応じて、血友病の主治医の先生に産科の先生宛の手紙を書いてもらうとよいでしょう。

出産に関して知っておくべきこと

保因者の出産時は、保因者本人の止血管理が重要です。
また、生まれてくる赤ちゃんが男児(血友病新生児)の場合には、出生時に“頭蓋内出血”などのリスクをともなう可能性があります。頭蓋内出血が起きると、生命に関わる重篤な状態に至ったり、てんかんなどの後遺症が残ってしまったりすることがあります。
血友病新生児を頭蓋内出血から守るためには、経腟分娩の場合は頭蓋内出血のリスクとなる吸引分娩(赤ちゃんの頭に吸引カップを密着させ、引っ張り出す方法)や鉗子分娩(鉗子という器具で赤ちゃんの頭をはさみ、赤ちゃんを誘導しながら引っ張り出す方法)を避けるようにします。
経腟、もしくは帝王切開のいずれの分娩方法にするかについては、リスクとベネフィットをふまえて先生とよく相談し、納得した上で決めることが大切です。
妊娠によって増加した血液凝固因子活性は、出産後急速に低下します。そのため、出産後は思わぬ出血を起こすことがあります。
痛みや出血量の増加に注意して、小さなことでも気になる症状があれば、早めに産科の先生に相談することが重要です。

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