遺伝子治療とは

2024.07.18

監修

自治医科大学医学部生化学講座病態生化学部門 教授 大森 司 先生

遺伝子治療とは、疾患の治療を目的として、遺伝子を体の中の細胞に入れる治療法です。遺伝子を細胞の中に届けるにはベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋を利用します。遺伝子治療の手法は大きく分けて体外法と体内法があります。体外法では、患者さんから細胞を取り出し、ベクターで目的の遺伝子を細胞に届けます。この細胞を身体に戻します。血友病の遺伝子治療は体内法で行われます。ベクターを直接患者さんに投与して肝臓に遺伝子をとどけます。血友病Aの場合は第Ⅷ因子を発現する遺伝子を、血友病Bの場合は第Ⅸ因子を発現する遺伝子をベクターに搭載して、これを直接投与して、不足・欠乏している血液凝固因子を産生させる治療です。1回の投与で生涯にわたる効果が期待されており、定期的な薬剤の投与から解放される可能性があります。2023年10月現在、日本で承認された血友病の遺伝子治療薬はまだありませんが、欧米では、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター遺伝子治療が、血友病A、Bに対してそれぞれ1種類承認されています。
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