血液凝固カスケードとは

2024.07.18

監修

奈良県立医科大学 小児科学教室 准教授 荻原 建一先生

血液凝固因子は不活性型で血液中に存在し、凝固反応が開始されると活性型に変換され、それがさらに次の凝固因子を活性化します。この連鎖して起こる反応は滝(カスケード)が段々に落ちる様に似ていることから、血液凝固カスケードとよばれています。
血液凝固カスケードは外因系、内因系、共通系に大別されます。内因系と外因系の区別は、血液凝固の仕組みの発見の歴史をふまえた人為的なものであり、生体内では二つの系が複雑に連携しています。
・外因系(凝固因子Ⅲ・Ⅶ)
血管外の組織に損傷が生じると、組織因子(第Ⅲ因子)は暴露され、血液中の活性型第Ⅶ因子と結合します。これにより、共通系へと続くプロセスが開始されます。
・内因系(凝固因子Ⅷ・Ⅸ・Ⅺ・Ⅻ)
血管内の陰性荷電物質により第XII因子が活性化され(XIIa)、さらに第XI因子を活性化(XIa)、これが第IX因子を活性化します(IXa)。Ⅸaは第Ⅷ因子の補酵素作用を受けて、共通系へと進むプロセスが開始されます。
・共通系(凝固因子Ⅰ・Ⅱ・Ⅴ・Ⅹ)
外因系と内因系は、第X因子を活性化(Xa)します。Xaは第V因子と結合し、プロトロンビン(II)をトロンビン(IIa)に変換する複合体を形成します。トロンビンは、フィブリノゲンをフィブリンに変換し、丈夫で安定したフィブリン血栓が形成されます。
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