後天性血友病とは

2024.07.18

監修

奈良県立医科大学 小児科学教室 准教授 荻原 建一先生

一般的に血友病とよばれるのは血液凝固因子の遺伝子に先天的な異常を認める「先天性血友病」ですが、後天的に発症する「後天性血友病」という疾患もあります。後天性血友病の多くは、血液凝固第Ⅷ因子の働きが阻害される「後天性血友病A」です。
後天性血友病Aでは、本来はからだを守る仕組みである免疫が体内の血液凝固第Ⅷ因子を異物とみなし、異物を取り除く抗体(インヒビター)がつくられます。このインヒビターが、血液凝固因子の働きを阻害するため、血が止まりにくくなります。 性別に関係なく発症し、発症率に男女差はみられません。なお、後天性血友病では遺伝子に異常はないため、先天性血友病のように遺伝することはありません。
後天性血友病Aでは、インヒビターがなくならない限り、重篤な出血を引き起こしてしまう可能性があります。そのため、診断を受けたら、できるだけ早く副腎皮質ステロイドなどを用いた免疫抑制療法を始めます。その上で、治療が必要な出血症状がある場合は、止血治療も行います。止血治療では、第Ⅷ因子を迂回する経路(バイパス)を利用する薬や、第Ⅷ因子に代わって働く薬(エミシズマブなど)で出血を抑制します。
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