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正しい靴の選び方第3回
子どもの靴の選び方

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正しい靴の選び方
-第3回 子どもの靴の選び方-

2018.01.25

  • 監修:
    特定非営利活動法人(NPO)
    オーソティックスソサエティー 理事長
    整形外科医
    内田俊彦先生

子ども靴の買い替えの目安は、最低でも半年、できれば3ヵ月に1度です。
靴の中敷きを外してそこに子どもの足を乗せ、つま先部分に1cmの余裕がなければ買い替え時です。

みなさんは、どれぐらいの頻度でお子さんの靴を買い替えていますか?「それほど傷んでいないし、まだ履けそうだから」「子どもが気に入っているし、きついとか痛いとかいっていないから」などの理由で、何かしらの不具合が出るまでは買い替えなくてもよい、と思っている方が多いのではないでしょうか?

一般的に子どもの足長(サイズ)は、3歳ぐらいまでは半年に約1cm、3歳以上では半年で約5mm伸びるといわれています。ただ、子どもの足は骨や靭帯がまだ十分に成長しておらず、軟骨や脂肪が多い“柔らかい足”なのです。また、子ども用のスニーカーも比較的柔らかい素材で作られています。そのうえ、子どもは10歳ぐらいになるまで靴の中での自分の足の感覚を言葉できちんと表現することができません。

このため、足が大きくなって合わなくなったとしても、子どもは違和感を訴えることなく、しばらくはその靴を履き続けることができるのです。したがって、10歳までの子どもを持つ保護者の方には、たとえお子さんが不具合を訴えなくても、最低でも半年、できれば3ヵ月に一度の頻度で足に靴が合っているかをチェックし、定期的に靴を買い替えていただきたいと思います。とくに、子どもの足は冬よりも夏に成長します。このため夏休みが終わる頃には必ず靴が足にぴったり合っているかを確認し、必要ならば新しい靴に買い替えるようにしましょう。

では、子どもの足に靴が合っているかは、どのようにチェックすればいいのでしょうか? 自宅で簡単に確認する方法があります。まず、靴の中敷きを外し、そこにイスに座らせて体重がかからないようにした子どもの足を乗せます【図1a】。そしてその状態で、子どもの踵(かかと)と中敷きの踵を合わせて中敷きの外縁からつま先までの、いわゆる“捨て寸”(つま先部分の余裕)の長さを測ります。捨て寸が1cm以下ならば、その靴は小さいと判断し、ワンサイズ大きい靴に買い替えましょう【図1b】。その他の子ども靴のチェックポイントをまとめましたので、参考にしてください【図2】。

図1 子ども靴のサイズの確認方法

a:非荷重もしくは荷重の状態で中敷きに足を合わせる

b:捨て寸が1cm以内ならワンサイズ大きい靴に買い替える

図2 子ども靴のチェックポイント

    1. ① 紐やマジックテープで締まるようになっているか
    2. ② 1cm程度の捨て寸があるか
    3. ③ 靴底のすり減りに左右差がないか
    4. ④ ヒールカウンター[踵(かかと)を包み込む部分]を
      足で踏みつぶしていないか
    5. ⑤ 靴の中に砂などの異物が入っていないか
    6. ⑥ 中敷きのクッションはへたっていないか

子どもの靴は、紐やマジックテープで調節ができ、甲の部分がしっかり締まるタイプのものがよいでしょう。

このシリーズの第2回で紹介したように【第2回は、こちら】、子ども靴は子どもの足の形を正しく整えるための大切な“鋳型”となります。その“鋳型”となる靴の理想形は、①甲の部分が紐やマジックテープで締めることができ、②踵(かかと)部分にはある程度の硬さがあって踵の収まりがよく、③靴底は足指の関節部分で曲がり、④中には衝撃を吸収でき、取り外し可能な中敷きが入っていて、⑤靴底がぐにゃっと曲がらないように“シャンク”と呼ばれる芯(補強材)が入っている、⑥つま先部分には1cm程度の捨て寸があって足指の動きを妨げないものです【図3】。

つまり、子ども靴であっても、本来は甲の部分が紐で結べるものがよいのです。しかし残念なことに、日本ではサイズが16cm未満の紐靴はほとんど市販されていません。また、子ども用のスニーカーの多くは、着脱を容易にするために折り返し部分がない、ペタンと上から留めるだけのマジックテープが主流です。これでは甲をしっかりホールドできません。ただ、紐靴や折り返し部分のあるマジックテープ仕様のものがまったくないわけではないので、なるべくそうしたものを選ぶとよいでしょう。

図3 理想的な子ども靴

子ども靴はJIS(日本工業規格)で、サイズ10.5~26cmまで、ワイズ(足囲)はB、C、D、E、2E、3E、4E、F、Gの9タイプが規定されていますが、実際に市販されている靴の大半が2Eです。さらに、こうしたJIS規格があるにもかかわらず、製靴メーカーごと、あるいはデザインごとにサイズやワイズが異なります。したがって、靴を購入する際は、靴の表記を鵜呑みにすることなく、必ずお子さんには試し履きをさせて足に合っているかを確かめましょう。

※ワイズ(足囲):親指と小指の付け根あたり、左右の足幅が最も長いボールジョイントと呼ばれるポイントでぐるりと一周した長さのこと。
英語では、「Ball girth(ボールガース)」と称されるが、日本ではこれを幅(width)と捉えて「ウィズ」、もしくは「ワイズ」と呼ばれることが多いので、ここでもワイズ(足囲)と表記する。

できれば靴の専門家に足のサイズを正しく測ってもらい、
子どもの足にぴったり合った靴を選んでもらうとよいでしょう。

みなさんがメガネを作る時、必ず眼科医を受診してメガネの処方箋をもらい、視力や顔の形に合ったぴったりのものを選んでいるでしょう。「いずれ視力がもっと悪くなるだろうから、きつめの度数にしておこう」などとは思わないはずです。靴もメガネと同様、身につけるもので、子どもの健康や生活にとって欠かせないものです。

家の中でも靴を脱ぐ習慣がない欧米では、眼科における眼科医と同じような役割を担う“足病医”という、足を専門に診る医師がたくさんいます。しかし、近代になってから靴を履くようになった日本ではそうした専門医はほとんどいません。ただ、最近になってようやく靴店に資格を持ったシューフィッターやフットケアトレーナーが在籍するようになりました。

「どのような靴を選べばよいか分からない」「外反母趾の心配がある」といった場合は、こうした靴の専門家に相談するとよいでしょう【フットケアトレーナー在籍施設一覧】。靴の専門家が、子どもの足にぴったり合った靴を選ぶ手順をご紹介します【図4】。

★フットケアトレーナー:足の構造や機能、またトラブルにも精通する数々の知識(講習会に参加等)と実践を積み、
認定テストに合格したNPO法人オーソティックスソサエティーの会員。

図4 足にぴったり合った靴を選ぶ手順

1. 情報収集(ヒアリング)

今履いている靴の状態を調べたり、問診をしたりして正しい靴選びのための情報を収集します。

2. 足のサイズ計測

体重がかかっていない(非荷重)時と、体重がかかっている(荷重)時の足の大きさをフットゲージとメジャーを用いて計測します。

3. フットプリント採取

フットプリントを採取して両足の体重のかかり方に差がないか、足裏に問題がないかを確認します。

4. 理想とする靴サイズの見極め

足のサイズ計測での数値から理想とする靴のサイズ・ワイズを予測し、試し履きをします。なお、靴を履く時には、靴ベラを使います。

5. 静止立位姿勢の観察

静止状態での肩や腰の傾きをチェックし、全身のバランスを観察します。

子どもには、靴を正しく履かせる指導も大切です。

足に合った靴を選んでも、子どもがそれを正しく履けなければ意味がありません。ほとんどの子どもは、立った姿勢のまま足を靴の中に滑らせ、トントンとつま先部分を地面に打ち付けるようにして履きますが、それは間違った履き方です。

必ずイスに腰かけて靴ベラを使って足を靴に入れ、地面に踵(かかと)をつけた状態でつま先を上げ、紐を結んだりマジックテープで留めたりするのが正しい靴の履き方です【図5】。こうした正しい靴の履き方を子どもに指導するのも大切なことです。

図5 靴の正しい履き方

    1. ① イスに腰かける
    2. ② 靴の履き口を大きく開いて、靴ベラを使って足を入れる
    3. ③ 踵(かかと)を地面につけ、つま先を上げて靴の踵部分を
      しっかり合わせる
    4. ④ つま先を上げた状態のまま足首側からマジックテープを
      しっかり留める

「小さい子に靴ベラを使わせたり、靴紐を結ばせたりするのは難しいのでは?」との声も聞かれますが、小さい頃から靴ベラを使わせるのは、大人になってからも正しい方法で靴を履く習慣を身につけさせるためです。また、ある私立小学校の入学テストでは、子どもに紐靴を履かせて紐が結べるかをみる課題もあると聞きます。幼稚園児ぐらいになれば、きちんと指導すれば靴ベラを使ったり、紐を結んだりすることはできるようになりますので、チャレンジしてみてください。

なお、ゆったりした靴ばかり履き慣れている子どもでは、ぴったりした靴を履かせると「きつい」ということが往々にしてあります。しかし、しばらくそのまま歩かせていればだんだん慣れてきて、やがて何もいわなくなります。もしも、それでも「痛い」といった時には、慌ててワンサイズ大きめにするよりも、まずは中敷きを薄いものに取り換えるようにしてみましょう。安易にサイズアップしないことが大切です。

血友病のお子さんでは、幼稚園や学校の上履きへの対応も必要です。
心配なことがあれば、フットケアトレーナーや整形外科医に相談しましょう。

血友病のお子さんの場合の靴選びは、基本的に血友病でないお子さんの場合と同じです。ただ、血友病のお子さんには血友病性関節症の発症を防ぐべく、できるだけ足首に負担をかけない靴を選びたいものです。とくに注意していただきたいのは、幼稚園や学校指定の上履きです。なぜなら、指定の上履きの多くは、バレエシューズのような靴底が薄くて全体的に湾曲しやすく、踵(かかと)から足底の中央部分までに“シャンク”という芯(補強材)が入っていない、柔らかすぎる構造になっているのです。これでは足を安定させることができず、足首にも負担がかかってしまいます。

そこで、できれば幼稚園や学校の先生に、「足首にケガをしやすい体質だから注意するようにと医師からいわれている」と理由を説明し、スニーカータイプの靴を上履きにできるよう配慮してもらうとよいでしょう。ただ、そうすると指定外の上履きを履いていることが、いじめの対象になる可能性も否定できません。そのような懸念がある場合は、甲の部分のゴムバンドをつまんで縫い縮めたり、クッション性の高い中敷きを入れたりして、みた目は指定の上履きからは大きく変えずともできる工夫を施すようにしましょう。

こうした工夫についても、シューフィッターやフットケアトレーナーに気軽に相談するとよいでしょう。また血友病性関節症については、血友病のお子さんそれぞれの関節の状態が異なるので、主治医や主治医と医療連携している整形外科医に相談するようにしてください。

お母さんのために! 大人の女性の靴選びはこちらから【第4回 大人の靴の選び方】

Profile

  • 特定非営利活動法人(NPO) オーソティックスソサエティー 理事長 整形外科医
    内田俊彦先生 プロフィール

    1977年に昭和大学医学部を卒業。昭和大学藤が丘病院整形外科、神奈川県立子ども医療センター、船橋渡辺整形外科病院を経て、2002年にNPOオーソティックスソサエティー(医師・理学療法士・柔道整復師・鍼灸師等の医療従事者と靴業界で結成された足と靴の専門家集団)の理事長に就任。現在は、東京都に足と靴の治療モデル店で、足と靴の専門家として整形外科医の立場から子どもから高齢者までの靴選びや、フットケアトレーナーの育成に従事。子どもの“足育”にも力を入れている。

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