日本国内で作られた
第VIII因子の代わりに働く抗体医薬品です
2022.02.01
監修
奈良県立医科大学 血栓止血研究センター センター長 嶋 緑倫 先生
ヘムライブラは、抗体医薬品です。
- 「抗体」は、からだの中にある免疫グロブリンというタンパク質です。体内に侵入した病原体などの異物(抗原)に結合します。ひとつの抗体は特定の抗原とのみ結合します。
- 「抗体医薬品」とは、抗体が特定の物質と結合するという性質を応用した医薬品です。
- 抗体は「Y」の字の形をしていて、「Y」の字の先端の2ヵ所で特定の抗原と結合します。通常の抗体は左右が同じ抗原と結合します。
- ヘムライブラはバイスペシフィック抗体と呼ばれ、左右で異なる抗原と結合するように改変された抗体医薬品です。
- ヘムライブラは、日本国内でつくられた医薬品です。
井川 智之:YAKUGAKU ZASSHI 137(7):831-6, 2017
北沢 剛久, 嶋 緑倫:生化学 89(3):325-32, 2017
(本論文の著者に中外製薬の社員を含みます)
第VIII因子の代わりに働くことで止血を進めます。
- ヘムライブラは、「Y」の字の先端の2ヵ所のうち、一方で活性型第IX因子に、もう一方で第X因子に結合します。
- その結果、血液凝固第VIII因子の代わりとなって働きます。
- ヘムライブラは第VIII因子と似た働きをしますが、第VIII因子と異なる構造を持つので、第VIII因子に対するインヒビター※を生じさせないと考えられています。また、ヘムライブラは、第VIII因子に対するインヒビターを持つ場合にも効果を示します。
人によっては「免疫」というからだを守るしくみによって、注射された凝固因子を異物(抗原)とみなし、「インヒビター(抗体)」とよばれる異物を取り除くタンパク質がつくられてしまうことがあります(インヒビターは一度発生しても自然に消失することがあります。また、治療を行うことで消失する場合があります)。
定期的に皮下に注射します
2022.02.01
監修
奈良県立医科大学 血栓止血研究センター センター長 嶋 緑倫 先生
ヘムライブラの使用方法
ヘムライブラは液体の薬剤で、皮下に注射します。
- ヘムライブラは、液体の薬剤です。必要な投与量を注射器に抜き取り、そのまま皮下に注射します。
- 皮下注射は、皮膚のすぐ下の脂肪に針を刺して薬剤を注入する方法です。
- 上腕部のほか、腹部や太ももなどに打ちます。
- 注射した場所は、もまないでください。また、注射した当日の入浴は可能ですが、注射した場所をこすらないようにしてください。
ヘムライブラは、定期的に注射を続けることで効果が期待できます。
-
初めてヘムライブラを使うときには、週1回、4回注射した後(約1ヵ月後)にからだの中のヘムライブラの量が定常状態*に達します。
一定の量がからだの中にある状態 - これまで第VIII因子製剤による定期補充療法を実施している場合、定常状態に達するまでは凝固活性レベルが十分でない可能性があるため、ヘムライブラの2回目の注射の前日までは第VIII因子製剤の定期補充を継続することが望ましいとされています。
- 定常状態になった後も担当医の指示に基づき、決められたスケジュールで定期的に注射を続けることで、十分な血中濃度を維持することができ、出血リスクの低下が期待できます。
5回目以降は、週1回・
2週に1回・4週に1回の
スケジュールから選びます
2022.02.01
監修
奈良県立医科大学 血栓止血研究センター センター長 嶋 緑倫 先生
ヘムライブラの使用スケジュール
ヘムライブラの5回目以降の注射には、3つのスケジュールがあります。
- どのスケジュールを選ぶかは、担当医と相談して決めてください。
- ヘムライブラは、都合の良い曜日を決めて、毎回その曜日に注射します。
- 注射をする曜日と時間帯は、ライフスタイルに合わせて、担当医と相談して決めてください。
- 使用を開始してからスケジュールを変更したい場合は、担当医に相談してください。
- 予定日に通院できない場合や注射を忘れてしまった場合には、必ず担当医に相談してください。
在宅自己注射が可能です
2023.07.10
ヘムライブラは在宅自己注射が可能です。
- 在宅自己注射とは、医師や看護師ではなく血友病の方ご自身やご家族によって自宅でおこなわれる注射方法をさします。
- ヘムライブラは、医師により在宅自己注射に移行できると判断された方やご家族にかぎって在宅自己注射が可能です。なお、7歳未満の方ではご自身による自己注射は推奨されません。
- 在宅自己注射への移行にあたっては、ご本人やご家族が手順をよく理解して、正しく安全に在宅自己注射ができるよう、医師や看護師、薬剤師の指導を受けてください。
血友病の方やご家族向けに、在宅自己注射の方法を説明している資料を用意しています。
在宅自己注射ガイドを映像で見る(08:50)
2022.06.20
監修
奈良県立医科大学 血栓止血研究センター センター長 嶋 緑倫 先生
ヘムライブラの使用方法
- ヘムライブラを注射した部位と注射した日を記録して、次回の注射に備えましょう。
- 出血がみとめられた場合や、その治療として担当医からの指示に基づきバイパス止血製剤(ノボセブン®)や第Ⅷ因子製剤を使用した場合は記録しましょう。
- からだの調子や気づいたこともメモしましょう。
- 定期的に担当医に記録を見てもらい、注射の状況や出血の有無、体調などをチェックしてもらいましょう。
- 担当医がチェックする項目
-
- 決められた通りに注射できたか
- 出血の有無とバイパス止血製剤(ノボセブン®)、第Ⅷ因子製剤の使用について
- からだの調子
ほか
- 医療機関では少なくとも20年間は注射の記録を保管するように法律で定められています。ご自身でも、ヘムライブラを注射したら、バイアルに記載されている製造番号(ロット番号)を記録しておきましょう。
注射の記録をつける手帳を用意しています。
ヘムライブラご使用中にご注意いただくこと
医療費助成について
後天性血友病Aの方
ヘムライブラご使用中にご注意いただくこと
自己注射について
医療費助成について
更新情報
2023年10月19日NEW
製品Q&Aを更新しました。2023年07月10日
「在宅自己注射ガイド」と「在宅自己注射ガイド映像」を更新しました。2023年04月18日
製剤関連情報を更新しました。2022年07月21日
血友病A「ヘムライブラ工場見学動画」を更新しました。2022年07月05日
血友病A「血を止めるしくみとヘムライブラ」を更新しました。2022年06月30日
後天性血友病A「ヘムライブラのご使用に際して」を更新しました。2022年06月30日
血友病A「ヘムライブラのご使用に際して」を更新しました。2022年06月20日
血友病A「副作用と注意事項について」を更新しました。2022年06月20日
血友病A「緊急時の対応」を更新しました。2022年06月20日
血友病A「注射の記録」を更新しました。2022年06月20日
後天性⾎友病A「ヘムライブラとは」を更新しました。2022年06月20日
後天性⾎友病A「注射の方法」を更新しました。2022年06月20日
後天性⾎友病A「ヘムライブラのご使用に際して」を更新しました。2022年06月20日
後天性⾎友病A「ヘムライブラの副作⽤」を更新しました。2022年06月20日
後天性⾎友病A「ヘムライブラ投与終了後の留意事項」を更新しました。2022年06月20日
後天性⾎友病A「ヘムライブラと自己注射」を更新しました。2022年06月20日
後天性⾎友病A「医療費助成について」を更新しました。